保釈率が8年ぶり15%台 06年、上昇傾向続く

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007122901000307.html

保釈率が低く、拘置が長引く状況は「人質司法」と批判されてきたが、転換期を迎えつつあるようだ。

この見方はかなり甘いでしょうね。裁判所、検察庁が、この事件で、この時点において、この被告人は保釈したくない、という場合は、きっちりと「人質」状態で勾留が続けられているものです。保釈「率」で、この問題を切ってしまっては、最高裁は喜んでも、世の中のためにはなりません。
保釈請求が出されると、裁判所から検察官に意見が求められます。私も、検察庁にいた当時は、無数に意見を書きましたが、不相当意見をつけつつも、これは保釈になってもやむをえないな、保釈事案だな、と思うケースもかなりありました。そういったケースでも、特に、経験が浅い令状裁判官の場合は、「罪証隠滅の恐れ」ということが、教科書的にしかわかっておらず、また、裁判所の傾向が、検察庁の意向にできるだけ沿い、できるだけ身柄は外に出さない方向で、という流れできているため、保釈で出しても特に問題ないのに出さない、という結果に終わったものもかなりあった記憶があります。
あくまで、個人的な印象ですが、保釈率の上昇は、そういった、本来、保釈で外に出しても問題ない被告人について、さすがに裁判所内部でも部分的に見直す動きがあり、その結果、そうなっているのではないか、と思います。
肝心なところでは、がっちりと人質司法が維持され、身柄を握って放さないことで、裁判所、検察庁のペースで物事を進めて行く、というコアな部分は、依然として変わっていないと見るべきです。
店頭に並んでいる特売品が割安だからと言って、店内にあるすべての商品が割安であるとは限らないでしょう。店頭の商品は、一種の「釣り」で、店内に並んでいる商品は、むしろ他店より割高かもしれません。物事の実態というものは、単に、見かけやパーセンテージだけでは判断できない場合があるものです。