川中島の戦い

NHK大河ドラマ風林火山」は、最初は見ていましたが、何となく見なくなっていました。先ほど、外出しようとしていたところ、再放送で、最大の見せ場である川中島の戦いが登場していたので、おもしろそうで見てしまいました。明日日曜日の夜が最終回で、明日も川中島の戦いが取り上げられるようです。
川中島の戦いは、数次にわたって繰り返され、ドラマで取り上げられているのは、有名な「啄木鳥(キツツキ)の戦法」をとった武田軍を、上杉軍が見破って先回りし、手薄になった武田本隊に猛攻をかけ、上杉謙信武田信玄に直接太刀を浴びせるところまで行った(この点は史実かどうか争いがあるようですが)という、あまりにも有名な戦いでした。
啄木鳥の戦法は、武田信玄の軍師(かどうかも争いがあるようですが、それはともかく)である山本勘助発案によるもの、とドラマでもされていました。この戦法は、山上の上杉軍を武田軍別働隊が攻撃し、山から下りてきた上杉軍を武田本隊が迎え撃って、別働隊との挟撃により撃破しようという、確かに魅力的な作戦ですが、魅力的であるだけに、リスクも大きく、最大のリスクは、正に、上記のように上杉軍に見破られ、手薄になった本隊を先行して攻撃されてしまう、ということでしょう。状況は異なりますが、桶狭間の戦いにおいても、数の上では圧倒的に勝る今川軍が、軍勢が伸び、分散もして、今川義元がいる本隊が手薄になったところを、織田信長率いる僅か数千程度の軍勢に奇襲され(「奇襲」と言えるかどうかは争いがあるようですが)、壊滅しています。
このような、非常にリスクの高い戦法を採用するにもかかわらず、山本勘助武田信玄に十分リスクを説明したり、リスクをヘッジするため、別働隊に回す軍勢を本隊に残して手厚くしておくなどの対策を講じるような場面もなく、ドラマなので仕方がないとしても、軍師として検討、対応不十分という印象は拭えませんでした。こういった思い切った作戦を採用する場合には、軍議を開いて、他の有力武将の意見も聞いてみるべきではないか、と思いますが、そのようなシーンもなく、そのあたりはドラマとは言え、描き方にも不満が残りました。
上杉軍に啄木鳥の戦法を見破られ、突如、武田軍本隊正面に上杉軍が出現し、驚愕した山本勘助武田信玄に詫びるシーンが印象的でしたが、私自身も、思い切った方策を自らとったり他人にアドバイスすることもありますから、思い切った方法が無惨にも裏目に出た、このシーンは、他人事とは思えないものがありました。鮮やかな、目覚ましい成果が期待できる方法は、裏目に出た場合の打撃も大きいもので、どこまでリスクをとるか、どこまでヘッジできるか、ということは、常に考えておく必要があると改めて感じました。
なお、

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B7%9D%E4%B8%AD%E5%B3%B6%E3%81%AE%E6%88%A6%E3%81%84

を読んでいたところ、上記のような武田軍本隊と上杉軍の激突については、啄木鳥の戦法やそれを見破った上杉軍の機先を制した動きによるものではなく、追い込まれた上杉軍が打って出た結果ではないかとか、濃霧(ドラマでも取り上げられていましたが)の中、互いに敵を求めて進軍中に予期しないまま遭遇し、そのまま乱戦になったのではないか、といった説も出ているようで、なかなか興味深く、今後も引き続き関連する本などを読んでみたいと思いました。