16年たって判明した詐欺被害

徳島地検で勤務していた平成3年のことだったと思いますが、検察庁あてに、印鑑作ります、という業者からのチラシが来て、地検内で回覧されていたので、やや奮発して(価格は忘れましたが、当時の給料から見て、やや高いな、という程度のものではあったと思います)、琥珀(こはく)の印鑑を作りました。印材がきれいで、少しの間、気に入って使っていましたが、落としたはずみか何かで、縁が少し欠けてしまったので、使わなくなりました。やや高い印鑑だった、という印象があったので、捨てるのがもったいなく、印鑑箱の隅に置いたままにして、その後、いろいろと良い印鑑(チタン製など)も購入したので、そのままになっていました。最近、印鑑箱を整理していて、それを見て、使えるなら、再度、彫りなおしでもして使ってみようかな、と思い、弁護士会館地下の印鑑店へ行って見てもらいました。
ところが、です。
その印鑑は、琥珀、ではなく、何と、プラスチック製である、ということがわかりました。見た目はきれいですが、プラスチック製とは夢にも思っていませんでした。
考えてみると、業者の店舗で依頼したわけでもなく(山梨のほうの印鑑屋だったように思いますが、もはや曖昧です)、琥珀です、と言われれば、いちいち調べるわけでもありませんから、詐欺は容易だったものと思います。他にも、同種の被害にあった人はかなりいたかもしれません。
すでに16年たっていて、今さら腹もたたず、こういうこともあるんだな、と思った程度ですが、当時、すぐにわかっていたら、安月給から多少なりとも無理して支払った、ということもあって、怒髪天を衝く、という感じで怒って、自分で逮捕状を請求して詐欺業者を逮捕していたかもしれません。方法はともかく、そのままでは済まさなかったでしょう。
こういった詐欺もあるので、役所、会社等で、わけのわからない業者から、この種の、詐欺がはたらきやすい製品の売り込みがあった場合は、要注意だと思います。