「グーグル革命の衝撃」

NHKスペシャル グーグル革命の衝撃

NHKスペシャル グーグル革命の衝撃

今年5月の発売直後に購入し、少しずつ読んでいましたが、やっと読み終えることができました。単なる読み物ではなく、いろいろな問題点が指摘されていて、重いものがあり、なかなか読み進めなかった、という面がありました。
私自身が、今後、深刻な問題になりそうだと感じたのは、グーグルが提供するようなサービスがますます普及することにより、単に、プライバシー侵害、あるいはその危険性が生じるだけでなく、本書で、

現代はある特定の政府がすべての個人を監視するのではなく、マーケティングの目的と政府のテロや犯罪などに対する警戒とが合わさって、お互いがお互いをネットワークを通じて監視し合い、相手の行動を予測し合うという新しい社会秩序が登場しはじめている
(210ページ)

といった指摘がされている点でした。
従来は、表現の自由が保障され情報が自由に流通する社会であれば、淘汰されるべきものは淘汰され、正しいものが残り、正義が実現されるはずである、という前提が存在していた面がありますが、インターネットが隅々まで普及し、人々がインターネットを通じて情報に接するのが通例となった社会において、「検索」等がもしも恣意的にコントロールされるようなことがあれば、コントロールできるごく少数の人や組織が、望む「社会秩序」を形成することができる、といったことにもなりかねません。その意味で、便利さとは裏腹に、我々は、非常に危うい状況に身を置いてしまっている、と言っても過言ではないと思います。
読み進めている間も、読了した後も、では、どうすれば良いか、何ができるか、という、わきあがってくる問い、疑問に、明確に答えることができず、重苦しさを打ち消すことができないままでいます。この問題は、今後も頭の片隅に常にあって、繰り返し考えて行くことになると思います。