東京地裁、堀江被告人に懲役2年6月の実刑判決宣告

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070316-00000023-mai-soci

被告人、弁護人の活発な発言、活動が、どうも裏目に出たようですね。

ライブドア前社長・堀江被告に懲役4年求刑…東京地裁
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20061222#1166757567

弁護人の主張、立証が全面的に排斥された場合、裁判所により非常に厳しい見方をされ、「反省していない」などとして、執行猶予が付かず実刑になる、という可能性も否定できないでしょう。

以前、求刑に際して上記のようにコメントしたことがあります。
それ以前にも、実刑の可能性については、

証券取引法違反事件の量刑事情
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20060118#1137548851

証券取引法が保護しようとしている法益(法によって守られる利益)の重要性、現在の日本、世界における健全な証券取引の重要性、といったことを考えると、従来、執行猶予に付されていたような事件であっても、今後は実刑を宣告すべき、という事案が増加する可能性が高いのではないか、と思います。
その意味では、今回のライブドア事件で、起訴される人々が出た場合に、裁判所が、従来の量刑相場を踏襲せず、踏み込んだ判断をする可能性はあると言えるでしょう。

ともコメントしました。裁判所が、上記のような意味での「踏み込んだ」判断をした、と評価できるかもしれません。
判決の具体的内容に、まだ接していませんが、東京地検特捜部が描いた構図が、ほぼ全面的に裁判所によって是認されている可能性が高いでしょう。
特に、重い意味があるのは、問題となった犯罪が、まだ1審とはいえ、裁判所によって、懲役2年6月の実刑という判断が示されるだけの「重大な犯罪」であった、ということだと思います。「この程度のことで検察庁が動くのはおかしい」などと言っていた人々は、自らの不見識を多少は反省したほうが良いでしょう。

堀江被告、涙の最終弁論で無罪主張…ライブドア事件公判
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20070127#1169861208

ライブドア事件に関する、本ブログでのエントリーは、下記のエントリーでまとめてあります。

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20061226#1167094527

追記1:

意外な判決、と怒りあらわに堀江被告弁護人
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070316-00000005-yom-soci

堀江被告には事前に、『実刑は考えられない』と伝えてあった。私にとっても堀江被告本人にとっても意外な判決だ」と述べた。

一言で言えば、見込み違い、ということでしょうね。従来の戦略、戦術で今後も突き進むのか、といったことも、検討はすべきでしょう。大幅見直し、ということになれば、弁護団の総入れ替え、ということも、可能性としてはあり得ます。

追記2:

「あなたに勇気もらった子も」=裁判長が堀江被告に説諭−東京地裁
http://news.livedoor.com/article/detail/3070176/

裁判長は判決の最後で再び実刑を宣告した後に堀江被告をまっすぐ見詰め、「ひとこと言っておきたい。この事件に関して、裁判所に何通かの手紙がきました」と語り始めた。その中には「障害を持つ子の母親」からの手紙があったという。
「その子は、被告人が大きな夢を持ち、若くして会社を起こし、上場企業に育てたことであこがれの対象だった。障害を克服して働く力を被告からもらった証しとして、一生懸命働いてためたお金でライブドア株を購入して、いまでも大切に持ち続けているそうです」。

最後に裁判長は「被告人の姿に勇気付けられた子がいることを忘れずに、罪を償い、その能力を生かして再出発してください」と締めくくった。

私は、こういう仕事をしているので、裁判官の説諭を、数多く、法廷でも聞き、また、ニュース等でも見聞きしてきましたが、今まで見聞きした中では、最も心打たれる説諭ですね。
かつてアメリカのメジャーリーグ八百長に手を染めたジョー・ジャクソンが、ファンの子供から「嘘だと言ってよ、ジョー」と言われたエピソードを思い出しました。
堀江被告人も、今は、こういった話を噛み締める余裕はないと思いますが、いずれ、落ち着ける時が来たら、この裁判長の説諭を噛み締めてほしいと思います。

追記3:

3月18日のテレビ朝日サンデープロジェクトに出演した堀江被告人は、上記の説諭について、「純粋に感動していた」と述べていました。やはり、心に響くものはあったようですね。