東の河井、西の別所

今や、検察の歴史の中の存在ですが、東京地検特捜部で活躍した河井信太郎氏、大阪地検特捜部(応援派遣された東京地検特捜部でも)で活躍した別所汪太郎氏の著書は、非常に参考になります。別所氏の著書は、書店では入手不能のようですが、アマゾンなら古本で何冊か出ていますから、興味ある方は、入手して読んでみるとよいと思います。
誤起訴で厳重注意処分となった大阪地検刑事部長、副部長も、特に別所氏の著書は、関西検察の大先輩によるものですから、初心に戻って謙虚になるためにも、読んでみるとよいでしょう。
別所氏の著書の中で、私が最も好きなシーンは、大阪タクシー汚職事件で、勾留延長請求が却下され、別所特捜部長陣頭指揮の下、準抗告し、特捜部長自ら裁判官との面談に臨み、必死に説得する中、勾留期間が満了する午前零時が刻一刻と迫って、書記官が10、9、8・・・と秒読みを始めるところです。午前零時まであと数秒というところで、裁判官が何と言ったかは、本で読んでみてください。
これだけの熱意と努力で捜査に臨めば、国民のために、本当に良い仕事、良い捜査ができることでしょう。現職の人々で、疑問や迷い、行き詰まりを感じているような人も、一度、読んでみると、疑問や迷いに何らかの解答が得られるかもしれません。
私は、大学1年生の時に別所氏の著書を読んで強い感銘を受け、その後も、時々取り出して読んでいましたが、そのせいもあってか、検察の仕事ということ自体に、疑問や迷いを感じたことは一度もありませんでした。
ただ、これだけの別所氏でも、甲山(かぶとやま)事件では失敗していて、捜査の難しさ、ということを痛感します。

特捜検事ノート (中公文庫)

特捜検事ノート (中公文庫)

追記:

「鬼検事覚書」は、

http://www.kosho.or.jp/servlet/top

で検索すると、私が検索した時点で18冊ヒットしますから、こちらでも購入できそうです。