堀田力のズバリ直言(4)レッドカードが見えてきた―ホリエモン裁判の行方

http://www.janjan.jp/column/0609/0609171328/1.php

元検事である堀田氏の、ライブドア事件に関する見方ですが、なかなか興味深いものがあります。

私もそこを何が出てくるかなと実は聞いていたのだが、そこに弁護人の冒頭陳述が出てきた。弁護側で何を持っているか、検事の立場で言えばこわかっただろうと思うが、その立場で読んだら、安心したと思う、検事は。つまり新しい事実、こわい事実がない。理屈がほとんだ。理屈はおもしろいことはおもしろいが、所詮は理屈で、ちょっと事実関係が悪いからそこでということではへりくつになってしまいがちだ。
よく勉強して書いているが、検事からみると、こんな事実があったか、これじゃあぶないぞというようなものはないし、そういう証拠もない、というか、もちろん私は証拠を全部は見ていないが、あれば当然立証のなかで出てくるだろうから。つまり一部無罪はあるにしても、全体としてはかなり有罪という線であろうということが冒頭事実で見えたかなあと。
ということは、ホリエモンはずっとしゃべらずにいて最後は無罪を願っているだろうが、実はその作戦は、成功していない可能性がきわめて高い。つまり、有罪でしかも実刑になる可能性が高い。自白していないというのは情が悪いから。ホリエモンにとって一番困るのは実刑だろうから、執行猶予と実刑では天と地だから、その大きなリスクを冒してしゃべらなかったのがそれがマイナスに出ている可能性が強いかなあと。

事件を見る目のある人は、こういう目でもこの事件を見ている、ということは、覚えておいたほうがよいでしょう。まったく同じではありませんが、私の現時点での見方も、上記の堀田氏の見方と共通するものがあります(私には堀田氏のような事件を見る目はありませんが)。
検事として公判立会していて、何が嫌かと言うと、捜査段階では想定していなかった、新しい事実が出てくるということでしょう。想定された範囲内の事実であれば、それにどう対処するかは事件の中に織り込み済みですが、想定外の事実が出てくると、検察官が構築したストーリーが根底から覆ってしまう、ということになりかねません。
この記事の中にある、堀田氏の、堀江氏に対する、

ふつうはしゃべるのだが。個人としてしゃべってもいいことをしゃべらずにぐっと耐えるということは、非常に強いパーソナリティがないとできないことなので、ふつう日本人はできない。いろいろ聞いていけばしゃべるのだが、その点、この人は、いい意味でも悪い意味でも、非常に個人の強さを持っているひとだ。

という分析も、堀田氏らしく、なかなか鋭いものがあると思いました。そういった個人の強さが、現在の強気の弁護方針につながっているということになると思いますが、物事は「裏目に出る」という事もあり、今後の公判の行方が注目されます。