政党ビラ配布に無罪 住居侵入被告の男性

http://www.tokyo-np.co.jp/flash/2006082801000710.html

2004年以降に摘発が相次いだ政党などのビラ配布事件で3件目の1審判決で、無罪は2件目。

理由がまだわかりませんが、報道によると、「侵入」に該当しない、と判断したようです。
この種の事件についての私の考え方は、以前、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20041229#1104253701

と述べた通りです。
判決の内容を見てみたいですね。

追記:

「マンションへの政党ビラまき、被告に無罪判決 東京地裁
http://www.asahi.com/national/update/0828/TKY200608280077.html

判決は「どんな時に立ち入りが許されるかは、社会通念を基準に、立ち入りの目的・態様に照らし、法秩序全体の見地からみて社会通念上、許される行為といえるか否かで判断するほかない」とする判断の枠組みを示した。
そのうえで「ドアポストへの立ち入り目的は、商業ビラに紛れて捨てられる恐れがあるためで、滞在時間はせいぜい7、8分」と短時間だったことを指摘。さらに、このマンションではピザのチラシも投函(とうかん)されているが、投函業者が逮捕されたという報道もないうえ、40年以上政治ビラを投函している被告も立ち入りをとがめられたことはないという点を踏まえ、「現時点で、ドアポストに配布する目的で昼間に短時間マンションに立ち入ることが明らかに許されない行為だとする社会的な合意がまだ確立しているとはいえない」と述べた。
「立ち入りやパンフレットの投函は厳禁」とするマンション玄関の張り紙についても、「明確な立ち入り禁止の意思表示がされていない」と指摘し、男性の立ち入りに正当な理由があると結論づけた。

公安部的な感覚も踏まえて言うと、この判断は、至極真っ当なものだと思いますね。「侵入」については、管理者の意思に反した立ち入り行為であるというのが現在の実務的な考え方ですが、「意思に反する」という点は、当然、実質的に考えられる必要があり、特に、この種の共同住宅で、特定の居住者の意思だけでは決められないような場合は(居住者によってはこの種のビラを受け取りたいという人もいるでしょう)、上記のような手法で「管理者意思」を見て行かないと、管理者意思の見極めがつかないと思います。
起訴価値もない事件で、無理をすると、こういう形でツケがまわってくる、ということでしょう。