ネットの中傷書き込み、発信者突き止めへ指針 総務省

http://www.asahi.com/life/update/0630/014.html

02年施行のプロバイダー責任制限法では正当な理由があればインターネット接続業者などに開示を請求できるとしているが、請求が受け入れられる例は少ない。
総務省は業界団体にどういう場合に開示すべきかの指針作りを求める。うその医療ミスや異性関係を書き込まれるなど、裁判所に開示を求められた過去の判例をもとに、年内にも指針ができそうだ。

こういった動きを無駄だとは言いませんが、「過去の判例」というものは、証拠に基づき、法律の専門家である裁判所が認定、判断したものであり、そういった事例の結論部分をとりまとめて「指針」を作っても、それを見る非専門家にとって、どこまで使えるものになるかどうかは、どうしても疑問がつきまとうでしょうね。
プロバイダが、上記のような請求に接する場合、裁判所に提出されるよりも、はるかに乏しい証拠しか見ることができないのが通例であり(証拠らしい証拠も見られない場合も少なくありません)、証拠の評価にもなかなか困難なものがあります。だからこそ、なかなか開示が進まない、という実態を直視すべきです。指針を作って、それをちょこちょこと見れば開示・非開示が簡単に判断できる、というものであれば、これまでも誰も苦労はしてこなかったでしょう。
指針作りも結構ですが、プロバイダ責任制限法の、発信者情報開示に関するそもそものスキーム自体の見直しも、真剣に検討すべきでしょう。