水俣病確認5年前に有機水銀の流出予見 チッソ報告書

http://www.asahi.com/national/update/0430/SEB200604290009.html

報告書によると、鉄の働きを維持するために硝酸を入れると、次のような現象に直面した。
「即(すなわ)ち急激な発泡をなし、此(これ)にともなひ液とともに排気煙突よりあふれ出すことが再々であった」。装置の上部から、有機水銀を含んだ液体があふれ出して床に流れ落ち、排水溝から外に出るというのだ。
塩出氏は前年の工程試験で、合成中に有機水銀化合物ができることを報告していた。51年報告書では、実際に製造を始める前の試験で廃液の流出を確認し、対策を打ち出した。だが、塩出氏は「水銀回収がうまくいかない」と会社の対応への懸念を家族に漏らしていた。二つの報告書は長く社外に出なかった。

このニュースに接し、2つの点を感じました、1つは、この人が、内部告発を行い、水俣病の原因がもっと早期に解明されていれば、犠牲者はもっと少なく済み、チッソが受けたダメージも、結局はもっと少なくて済んだのではないか、ということです。もう1つは、こういった報告書を社内で持ちながら、有効な対策を講じることなく、責任を回避しようとしたチッソの罪深さです。業務上過失致死傷罪ではなく、殺人罪で裁かれるべきであった、と言っても過言ではないでしょう。
しかし、あまりにも時が過ぎてしまい、今では、できることも限られている、ということが、不幸と言うしかありません。