京都弁護士会、「負担金」課税で大阪国税局に異議

http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20060329p102.htm

弁護士会は「負担金は会の運営に充てるため会員に強制的に納めさせている。徴収は不定期で金額にばらつきがあっても、あくまで会費であり、サービスの対価ではない」として消費税の課税処理はしてこなかった。
これに対し国税局は「法律相談を会員に割り振り、会員が引き続き訴訟などを担当すれば仕事の仲介に等しい」としたうえで、「負担金はその対価であり、売り上げにあたる」と判断。同弁護士会が、会員の申請を受けて照会業務を行った際に会員から受け取る手数料などと合わせ、消費税の課税対象として扱うように求めた。ところが、修正申告に応じなかったため、税務署が04年5月、更正処分を行った。

実態に照らすと、どちらかというと国税当局の見解に説得力を感じますが、その場合、弁護士法との抵触、という、やっかいな問題が生じかねません。
弁護士法72条は、

弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

と定めており(改正論議も活発ですが)、弁護士会は、弁護士でも弁護士法人でもなく、また、特に「別段の定め」もないので、上記のような「仕事の仲介」を、業として(業としてではない、とはとても言えないでしょう)行うことは、弁護士法72条違反の恐れがあります。
要するに、弁護士会が、この種の業務を行い、売上を計上すること自体が違法、という恐れがあるわけです。京都弁護士会にしても、それを支援して、記事によれば、

日弁連国税庁に出した意見書では「弁護士会の独立性を保つため、原則、補助金などは受けずに会費で運営している」と会費の意義を強調。「法律相談は、市民が相談しやすいように行っているもので、対価を得る仲介業とは異なる」などと主張しているという。

という主張を展開している日弁連も、弁護士法72条の問題は意識しているはずです。
こういう、なかなか難しい問題をはらんでいますが、国税当局の課税に関する考え方は、基本的に実質主義であり、実態に即した課税を行う、という考え方によれば、上記のような認定になるのも無理からぬ面があります。
今後、弁護士法72条改正を検討する際には、現状における弁護士会の事件仲介機能(?)に対する配慮、ということもきちんと行っておく必要があると思います。