危険運転致傷で2人逮捕 幅寄せ、同乗者に初適用

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060327-00000118-kyodo-soci

この同乗者の関与状況がよくわかりませんが、危険運転致死傷罪という犯罪と、「自手犯」という概念の関係が、やや気になっています。この点は、以前、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20050727#1122394397

と述べたことがありますが、自手犯というのは、例えば、最近出た

刑法総論講義

刑法総論講義

によれば、「常に行為者自身の直接の実行を要求する犯罪類型」(同書428ページ)とされていて、解釈上、そういった犯罪類型が存在する、という考え方が今でも根強いと思います(否定的な考え方もあるようですが)。
危険運転致死傷罪の構成要件では、自動車の走行、運転行為が処罰対象になっていて、上記のような意味での自手犯ではないか、という印象を強く受けます。上記の前田・刑法総論では、道路交通法上の無免許運転罪が自手犯の典型として紹介されていますが、そうであれば、危険運転致死傷罪も自手犯では?と思わざるを得ません。
ただ、以前からよくわからないのが、共謀共同正犯という概念を認める場合(実務的には肯定説が確立していますが)、自手犯と解されている犯罪であっても、共謀を遂げ、共謀者の中の者が実行行為に及び、実行行為に及ばない者も、利用補充関係の下で法益侵害に寄与する、ということが十分可能とも言えます。上記の事件の場合も、例えば、同乗者が危険な運転行為を積極的にけしかけるなどして、共謀の下で運転者が危険運転に及んだ、といった事情があれば、同乗者であっても十分当罰的とも言え、そこで、自手犯という、形式的な概念を持ちだして、そういった当罰的な行為を不問に付すのもどうか、という気がします。
そういったことを、つらつらと考えながら、今日の昼間に、以前購入した

正犯・共犯論の基礎理論

正犯・共犯論の基礎理論

で、自手犯に言及した箇所を読んでいると、似たような感覚(と言っては島田先生に失礼ですが)で、自手犯概念に対する疑問が呈されている部分があり、否定説の論拠が何となく理解できるような気がしました。
この辺は、よくわからないので、引き続き考えてみたい(と言っても、考えてわかるような気もしませんが)と思っています。