オウム松本被告の控訴棄却、訴訟能力を認定

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060327-00000012-yom-soci

この問題については、以前、

「夕方まで趣意書提出なし オウム松本被告弁護団
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20050831#1125484321

と述べたことがあります。
そこで述べた「リスク」が、正に顕在化してしまったわけです。
人間の歴史の中で、何の問題もない完全無欠の裁判制度を持った、ということは、おそらく未だかつてなく、今後も、そういう制度を持つことは、おそらく永遠にないでしょう。そういう現実の中で、不完全、不当な裁判制度、裁判所等に対する、特に弁護士の身の処し方として、
1 そういった裁判制度や裁判所を徹底的に拒否する方向で事を運ぶ
2 不完全、不当な裁判制度、裁判所に対し、徹底的に批判を加えつつも、被告人の利益につながる現実的な対策についてもできるだけ講じておく
という、大きく分けて2つの方法があると思います。
私自身の感覚は、後者であり、だからこそ、以前のエントリーでも、

私なら、裁判所の訴訟指揮に関する問題点は強く主張しつつ、控訴趣意書については、可能な限り作成して期限内に提出し、期限後も補充を行う(補充書を提出)という方法を選択すると思います

と述べたわけですが、この点は、あくまで私自身の感覚であり、これが唯一絶対の正しいものであると言うつもりはありません。
ただ、もし、このまま、この控訴棄却決定が確定し、被告人が死刑になった場合、弁護人として、何の疑問、後悔もなく、正しい弁護ができたと確信できるか、という点については、やはり疑問を禁じ得ません。