誘惑をはねのけた瞬間

昨日の夕方、ある事件の依頼を受けることになった会社のオフィスへ行くため、最寄りのJRの駅に到着し、昼食をとっていなかったので、そばでも食べようと思い、駅構内のそば屋の前にある自動販売機で食券を買っていたところ、隣の自動販売機を利用した人が立ち去り、そのすぐ後に、「チャリン」という感じで500円硬貨が出てきました。その人は、お釣りを取るのを忘れて立ち去ったものでした。
その瞬間、私の心の中で、「これだけ人通りが多い中で、この500円硬貨に手を伸ばしてもらってしまってもわからないだろう。」という気持ちが芽生え、次の瞬間、「いやいや、そんなことをしては窃盗か占有離脱物横領になってしまうから持ち去ってはいけない。」という気持ちが生じて、すぐに、その500円硬貨を手に取りそば屋の店員に事情を話して渡しました。
最近、他人のお金を不正に取得した、という案件を取り扱うことが多く、誘惑に負けてそういった不正行為に手を染める人の気持ちが、少し実感できたような気がしました。
誰の心の中にもある、人間としての弱さ、ということを、許すことはできなくても、理解できるということは必要な場合があるように思います。