鹿児島県警、ウソの供述を強要 県議選違反事件

http://www.asahi.com/national/update/0105/SEB200601040012.html

男性によると、捜査員に「元県議の関係者から金をもらったことを認めろ」「陰の協力者になれ」などと自白を強要された。男性は元県議との面識はなく否認したが、捜査員から「家族も一から徹底的に調べる」などと言われたため、調書に署名、押印することにしたという。

捜査関係者の一人は取材に対し、この男性らを容疑者に仕立てようとしたことを認め、「元県議の買収資金が判明しておらず、元県議を4度目となる逮捕に持ち込みたかった」と話した。

知能犯捜査の場合、捜査にあたって想定したストーリー(「筋」と言ってもよいでしょう)が正しければよいのですが、それが間違っていると、やってもやってもストーリーや筋に沿う証拠が出てこないので(当たり前ですが)、選挙違反捜査のように、警察庁にまで報告し身柄までとってしまったような事件では、今さらやめるにやめられなくて、無理に無理を重ねて墓穴を掘る、という展開になりがちです。
報道を見る限り、この事件は、正にそういった、「あってはならない」最悪の展開に陥っていたようです。

追記:

「自白 冤罪はこうして作られる」
http://7andy.yahoo.co.jp/books/detail?accd=01670323

私が司法修習生の時に読んだ本で、現在は残念ながら市販されていないようですが、死刑求刑事件で、唯一、1審無罪で確定(つまり、検察庁が死刑求刑していながら控訴すらできなかった)した殺人事件が紹介されており、捜査が暴走した場合の恐ろしさがよくわかる、大変参考になる本です。弁護士を目指している人だけでなく、裁判官や検察官を目指している人も、機会があれば読んでみてほしいと思います。
この事件でも、捜査陣の中にいた人(優秀さを評価されていた)が、弁護側の証人として出廷し、被告人の犯人性に疑問を投げかける証言をしています。無理に無理を重ねると、内部においても、職業上の良心に基づいて反旗を翻す人が出てくるということでしょう。