「強盗と恐喝の区別」

http://blog.livedoor.jp/you136/archives/50433885.html

この「反抗抑圧」状態に至っているか否かというのが、いまいちよくわかりません。実務の相場というやつがわからないわけです。

この辺は、事案によっては、なかなか微妙な場合があります。
以前、勤務していた検察庁で、別の検事が捜査していた事件ですが、連続コンビニ「強盗」を敢行していた犯人がいて、その地域のコンビニ関係者に、そのことが知れ渡ってしまったせいで、後になると、「強盗」が、レジの前で、「おい、金出せ」と言うだけで、店員がびびって金を渡してしまうようになり、反抗を抑圧するだけの暴行、脅迫がなくなってしまって、その検事は、迷った末に、一部を強盗ではなく恐喝で起訴していました。決裁の際、上司から、「なぜコンビニ強盗がコンビニ恐喝になるんだ?」と、散々、突っ込まれたと、その検事がこぼしていたのを覚えていますが、一種の限界事例だったように思います。
実務の相場、というものは特にないと思いますが、強盗の「定型」(団藤・大塚説ではおなじみの言葉ですが)としては、対面犯が想定されているような印象があります。電話や手紙等で脅迫するような非対面犯を、強盗で起訴したり有罪になったという話は聞かないですね。電話で「殺すぞ」「サリンまくぞ」などと脅迫されても、その場で殺されたりサリンをまかれたりするわけではないので、即、反抗抑圧というほどではない、ということかもしれません。こういった脅迫を、面と向かって直接言えば、強盗になる可能性が出てくるでしょう。
私が経験した事件では、深夜、路上で、相手に対して相当強烈な脅迫行為を行っており(若干の暴行もあったかもしれません)、「これは強盗ではないか」と思いましたが、送致罪名が恐喝になっていて、凶器を使用するといったこともなかったので、強盗までは認定せず恐喝で起訴したこともありました。
ケースバイケースで、丁寧に認定するしかないような気がします。