薬物事件で執行猶予がついて

最近、受任した薬物事件で、執行猶予付きの判決が宣告されました。自己使用目的で薬物を所持し、使用もしていた、という事件で、被告人に前科がないことから、執行猶予は付くだろうと思っていましたが、生活が不安定で、所持していた薬物の種類も複数であったことから、万が一のことを考え、情状立証を慎重、丁寧に行い、やや長めの執行猶予期間ではあったものの、執行猶予が付いて、ほっとしました。
以前、某地検で公判立会をしていた当時、立ち会っていた部の裁判官が、前科がない被告人であっても、薬物に対する依存性や常習性が強い場合は実刑にすることもある、という方で、そういった場合、当然、控訴されることになり、高裁の部長から、「落合君のところで実刑になった事件の控訴審は大変だ。」と言われたことがありました。部長は、嫌みで言っていたわけではなく、よく頑張って公判立会しているね、という感じで言ってくれていたもので、その頃のことが懐かしく思い出されます。
その部長は、人間的にも良い方でしたが、その後、某地検検事正在職中にお亡くなりになり、また、私も、今では、上記の通り、被告人を弁護し執行猶予を付けてもらう側に立っており、時の流れを感じます。