絵画公売オークションで提訴「画像は著作権侵害」

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20051013ic02.htm

訴状などによると、横浜市は今年2月、民間業者が運営するサイトで、市税滞納者から差し押さえた物品の公売オークションを実施。この中で、原告が著作権管理委託契約を結ぶ洋画家の絵画1点を出品し、全体写真と署名部分の拡大写真計3枚を掲載した。
これについて原告側は、同市は著作権者から画像掲載の許諾を得ておらず、著作権を侵害していると主張。掲載の差し止めと、未払いの許諾料など約17万円の支払いを求めている。

インターネットオークションで商品を紹介する際に、画像をアップロードすることがよくありますが、著作権者の複製権や公衆送信権等の侵害にあたる可能性があることは、以前から指摘されていました。

横浜市側は、「(公売オークションでは)画像が鮮明にならないように調整しており、著作権者の許諾が必要な『複製』には当たらない。複製だとしても、今回のケースは『引用』に当たるため、やはり著作権者の許諾は必要ない」と反論している。

今回の訴訟について、著作権法に詳しい横浜国立大学大学院の大和淳・助教授は、「公売のための情報提供であっても、著作権者の許諾が必要なことに変わりはない。(画像を不鮮明にするなどで)勝手に画像を改変すれば、別の意味で著作権侵害になる恐れがある」と指摘。社団法人「著作権情報センター著作権相談室(新宿区)も同様の見解だ。

公売オークションの先駆けとなった東京都は、横浜市とほぼ同じ意見。文化庁著作権課は「裁判の行方を見守りたい」と話すにとどめている。

それぞれが、異なる意見を持っているわけですが(文化庁は「見守りたい」そうですが。見守るのが仕事なんでしょうか?)、こういった行為をある程度は認める必要性がある(いちいち許諾を受けるとなると極めて煩雑であり、こういった行為により権利者に実質的な損害が生じているかという問題もあります)一方で、従来の枠組みに基づいて、「複製ではない」「引用にあたる」とも直ちに言いにくい側面があります。
「フェア・ユース」という概念が明文で認められていない日本において、この種の問題にどういった解決策を見出して行くかを考える上で、重要な訴訟になりそうです。