新聞見出し無断ネット利用に賠償命令 著作物性は再び否定

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0510/06/news081.html

控訴審判決は見出しの著作物性は一審同様に否定し、使用差し止めは認めなかった。だが「見出しは、多大な労力や費用をかけた報道機関の活動が結実したもの」として法的保護に値すると認め、営利目的による無断の反復使用は不法行為が成立すると判断。デジタルアライアンスの不法行為責任を認め、損害賠償を命じた。

判決文はまだ公開されていないようですが、著作物性が認められないことと、法的に何ら保護されないことはイコールではないでしょうね。
一般論として、他人の労力等に基づく成果にフリーライド(ただ乗り)するような行為が無制約に認められることも問題であり、不法行為が成立する場合もあり得ると思います。
ただ、本件で問題となった「見出し」が、本当に「多大な労力や費用をかけた報道機関の活動が結実したもの」と評価するに値するものかどうかは、何とも言えません。
なお、記事からも「営利目的による無断の反復使用」だからこそ問題視され不法行為の成立が一部認められたことは明らかで、非営利目的の行為、あるいは営利目的であっても反復しない態様の行為は、射程外である可能性が高いという印象を受けました(判決文を読んでみる必要があります)。

ネット記事の見出し無断配信「違法」…初の司法判断
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20051006i116.htm

では、

読売新聞東京本社広報部の話「記事見出しの無断使用は違法となることを認めた初の司法判断で、インターネット上のニュース配信の指針となる意義の大きい判決と考えます」

と、あたかも、記事見出しの無断使用が常に違法であるかのような印象を与えかねないものになっていますが、

記事「見出し」無断使用訴訟判決の要旨
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20051006ic27.htm

を見ても、裁判所は本件の具体的事情を踏まえた判断を示しており、記事の内容を鵜呑みにするのは致命的な誤解につながりかねないと思います。

追記:

田村善之教授の「著作権法概説(第2版)」24頁から25頁に、創作性と「額に汗」、という一節があり、この問題を考える上で参考になります。