痴漢事件の再現写真、証拠能力なし…最高裁が初判断

http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20050929i514.htm

最高裁のサイトでも、早速、アップされていますね。
URLが長すぎてうまくおさまりませんが、

http://courtdomino2.courts.go.jp/judge.nsf/View1?OpenView

の「平成17年09月27日 第二小法廷決定 平成17年(あ)第684号 大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反,器物損壊被告事件」です。

このような内容の実況見分調書や写真撮影報告書等の証拠能力については,刑訴法326条の同意が得られない場合には,同法321条3項所定の要件を満たす必要があることはもとより,再現者の供述の録取部分及び写真については,再現者が被告人以外の者である場合には同法321条1項2号ないし3号所定の,被告人である場合には同法322条1項所定の要件を満たす必要があるというべきである。もっとも,写真については,撮影,現像等の記録の過程が機械的操作によってなされることから前記各要件のうち再現者の署名押印は不要と解される。

刑事訴訟法を勉強したことがない方々にはわかりにくいと思いますが、「事実認定を行う裁判所の面前における反対尋問を経ていない供述証拠」を、「伝聞証拠」と言い、刑事訴訟法上、原則として証拠能力が否定され、例外として証拠能力が認められるためには、被告人・弁護人が同意する場合を除き、一定の要件を満たすことが求められます。
ここで問題となっている書証は、被害者等が犯行状況を再現したものですが、最高裁は、「実質においては,再現されたとおりの犯罪事実の存在が要証事実になるものと解される。」と言い切っており、そうなると、要証事実との関係では、実況見分とか写真撮影を行った者(捜査官)の供述証拠であるだけでなく、再現者自身の供述証拠でもある、ということになるわけです。
この種の証拠は、実務上、日常的に多用され、刑事訴訟法321条3項に基づいて簡単に証拠採用されており、今後、同意が得られない場合、どういった形で立証を行うかについて、検察庁は早急な対応を迫られることになると思います。