米国著名憲法学者の知られざる業績

http://hardlyablawg.txt-nifty.com/home/2005/08/the_best_summer.html

を、興味深く読みました。

イリィは、イエール・ロースクールを卒業すると、アール・ウォーレン長官のロークラークを経て、一時期サンディエゴで公設刑事弁護人を勤めた。公設弁護人というのは、最高裁のロークラークを勤めた人はあまり行きそうにはない地味な仕事だが、彼としては、自分がかかわったギデオン判決の成果を実地に活用したかったのだという。その後彼は、イェール、ハーバード、スタンフォードの各ロースクールの教授を経て、晩年(と言っても、亡くなった時はまだ66歳だったのだが)はフロリダの気候に惹かれてマイアミ大学の教授を務めた。学者としての彼は、史上屈指の重要な憲法学者であり、彼が若い頃に刑事弁護に情熱を傾けた事実はさほど知られていなかったが、彼は常々、ロースクール時代のサマーアソシエートの経験を、"the best summer job ever"として周囲に語っていたのだという。

ギデオン事件と言えば、私のような、しがない弁護士でも聞いたことがある著名刑事判例ですが、その事件の弁護に、ロースクールの学生が大きく貢献していたとは知りませんでした。また、最高裁判事のロークラークを務めるほどの優秀な法律家が、一時とはいえ、公設弁護人を務め、お金にならない刑事弁護に情熱を注ぐというところに、米国法曹界の底力を感じます。
人間、生きるためにはお金が必要であり、もらう以上は少ないよりも多いに越したことはないのですが、「どの分野が儲かるか」「どれだけ儲かるか」といったことを考えている弁護士ばかりでは寂しく、上記のような、優秀であるだけでなく志の高い法曹が我が国でも次々と輩出されるような状況になってほしいものです。