「検事に採用されてから」

http://www.moj.go.jp/KANBOU/KENJI/kenji04.html

岡口裁判官のブログ経由で知りました。

http://d.hatena.ne.jp/okaguchik/20050802/p1

同ブログで指摘されているように、これだけ見ていると、皆、検事総長次長検事検事長(いわゆる認証官)になれるかのようですね。しかし、そんなはずがありません。
昭和の終わりに、「検事 その素顔」という、法務省が作ったパンフレットがありましたが(伊藤検事総長宮崎緑女史の対談もあり、検事について無理矢理バラ色のイメージを振りまこうとする内容でした)、そこでも、検事任官者は、皆、認証官になるかのようなチャート図がありました。法務省がやっていることは、昔から変わらないということでしょう。
実際は、仕事ができずに退職に追い込まれる検事、不祥事を起こして寂しく職場を去る検事、私のように飽きてしまってドロップアウトする検事、不幸にも病気で退職を余儀なくされる検事など、人それぞれです。こういった、「きれい事」の紹介記事を見ていると、一生懸命やっていたのに、こき使われるだけこき使われて、出世もできず、何も良いことがなく、寂しく検察庁を去って行って、今はどこで何をしているかもわからない人々の顔が、なぜか頭に浮かんできます。
官僚組織ですから、人間関係など、いろいろとややこしいことがありますし、一度、マイナス評価(必ずしも公平な評価でもない)がつけられると、挽回することが非常に難しい組織で(官僚組織というのは、そういうものかもしれませんが)、ここで紹介されている「バラ色」の人々の背後には、もっと多数の「黒色」「灰色」の人々がいることを忘れるべきではないでしょう。そういった人々の怨念が、組織のあちらこちらに充満していると言っても過言ではありません。
昔から、「気をつけよう 甘い言葉と暗い道」と言われますが、こういった記事を見て幻想をふくらませる自分を、冷静に見つめる別の自分というものも持っておいたほうが良いでしょうね。