分かりやすい裁判へ投影機もOK 京都地裁、伏見の殺人事件初公判

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050727-00000008-kyt-l26

開廷に先立って投影される図面を確認していた弁護人が「刑事訴訟法によると、冒頭陳述は証拠によって説明する事実を述べるとある。(現場付近の公園の植え込みなどを記した)図面は証拠として請求する意思のない資料に基づいており、違法だ」と異議を申し立てた。

異議は「理由がない」として棄却されたということですが、本当に「理由がない」かどうかは、慎重に検討されるべき問題です。
この点について、上記の記事の中の指宿教授コメントが、問題点を的確に指摘していますが、私も、以前、

那覇地検、冒頭陳述に映写機活用」
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20050529#1117364272

と述べたことがあります。職業裁判官と違って、裁判員の場合、あるべきでない立証等によって一旦生じた誤った「心証」を、その後に訂正することは非常に困難であり、それだけに、立証上のルールは、従来以上にきちんと明確化しないと、裁判員が在廷する公判が徒に混乱し、適正な審判ができなくなる恐れすらあるでしょう。
あまりにも具体的過ぎる冒頭陳述は、それ自体が証拠の提示そのものになってしまい、刑事訴訟法に反する可能性が高いと思います。こういった問題意識は、今後とも必要でしょう。