尋問技術

http://lake.269g.net/article/479450.html

で触れられていました。
私自身、尋問がうまいわけではないので、大きなことは言えませんが、一般的に、検事や検事出身の弁護士のほうが、最初から弁護士をやっている人よりも尋問上手な場合が多いと思います(あくまで一般論です)。
なぜかと言うと、おそらく、検事のほうが、主尋問、それも、かなり緊張感のある主尋問を行ったり、当意即妙な反対尋問を求められる機会が多いからではないかと感じています。
弁護士の場合、仕事は、普通、民事が中心になり、尋問自体を行う機会が非常に少なかったり(人によっては全然ない)、やっても、それほど緊迫感はない場合が多いでしょう。また、刑事事件を担当する機会が比較的多くても、検事ほどは場数を踏まない人がほとんどでしょう。
検事の場合、自らの尋問結果が有罪・無罪に直結することが多く、一旦、崩れてしまった、あるいは崩れそうになった自らの証人や、敵性証人に対しては、それなりのフォローも必要ですから、一生懸命やっていると、徐々に尋問がうまくなるものです。どこまでうまくなるかは人によりますが。
公判立会検事をやりながら見ていると、弁護人でも、尋問が下手な人は見ていてかわいそうになるくらい下手で、こちらがかわってやってあげたいくらい、という場合も結構ありました。それが国選弁護人である場合は、裁判官も、そのまま放っておけないという気持ちになるようで、結構丁寧に補充尋問を行う場合も少なくなかった記憶です(今でも同様ではないかと推測します)。
公判に立ち会っている検事としても、弁護人の尋問が下手であっても、被告人の刑が重ければ重いほど良い、というものではないので、私の場合、情状証人や被告人質問の際の弁護人の尋問があまりにも低調な場合は、検事としての立場に矛盾しない範囲内で、ある程度補充で聞いてあげて、フォローしたこともありました。
ぶっつけ本番では、なかなか良い尋問はできないものなので、やはり、事前によく準備をした上で尋問に臨むことが重要だと思いますし、尋問後は、やりっぱなしにせず、できた調書を読み直してみて、「ここはこう聞けば良かったな」などと反省しつつ改善しようとする努力も必要でしょう(検事として、いわゆる2号書面の請求書を作成しようとして調書を読むと、聞き漏らしや追及不足が多くて真っ青、ということもあります)。
はっきりした口調で早口にならないように話す、問いが長くなりすぎないようにする、問いと答えがかぶらないようにする(聞き取れず調書が作れないので)、尋問の中で意味不明な用語(「あれ」とか「これ」などと言ってもわからない)を使ったりしない、証人や被告人が話しながら何らかの動作で示した場合は言葉で説明させておく、などといったことは、簡単なようですが、実際にやってみると、意外と難しく、身につくまではそれなりに時間がかかるものです。
がみがみと一方的にまくしたてれば良いというものではなく、だからと言って、あまり弱々しいと印象に残らず、なかなか難しいものですが、各自が、工夫と努力を重ねて磨いて行くしかないのが尋問技術と言えるでしょう。