マル特無期刑(?)

中山教授のブログの中の

http://knakayam.exblog.jp/1635527/

というエントリーについて、

近年、「マル特無期刑」なる言葉を聞く機会がありました。無期懲役の仮釈放の(検察官が行なう)上申について、死刑求刑で無期判決が出たような一定の案件については、原則的に仮釈放の上申はしないという扱いだそうですが、法的には仮釈放の決定権限は更正保護委員会ですよね。法務・検察からの上申がなければ、事実上更正保護委員会が仮釈放を決定することは運用上できないのでしょうか?だとすれば法務・検察サイドで法改正によらない「終身刑」が事実上作られていることになり、問題があると思うのですが、いかがでしょうか?

といったコメントが付されていた。
この点について、私の記憶、守秘義務の限界の範囲内で、少し触れると、確かに、平成10年ころから、こういった制度が新たに生まれた事実はある。再犯の恐れが強く、安易に仮釈放を認めるべきではない被告人について、特に指定する、といった制度であった(要件はもう少し具体的であったと思う)。
ただ、上記のように、「法務・検察からの上申がなければ、事実上更正保護委員会が仮釈放を決定することは運用上できない」というよりも、仮釈放にするかどうかを決定する際、捜査を担当した検察庁の意見を聞く、といった制度であったと思う。その前提として、「マル特」に指定されている事件である必要があり、そういった事件に指定するかどうかは、無期懲役刑が確定した時点で決めていたと記憶している。実際、私が主任検事となって起訴した事件で、無期懲役刑が確定した事件があり、主任検事として意見を書くように言われて、書いた記憶がある。
そういった事件に指定されると、検察庁の意見に拘束されるというよりも、検察庁に意見を聞いて、参考にするという制度になっていたはずである。
その後、そういった制度が変容したかどうかは、何とも言えない。
私が記憶している制度のままなら、「法改正によらない「終身刑」が事実上作られている」とまでは言えないと思うが、運用によっては、そういった制度になる可能性は否定できない。