殺人事件公判「被告は弁護士の隣に」 東京地裁が決定

http://www.asahi.com/national/update/0428/TKY200504280219.html?t5

裁判所は少女が保釈されていることや、未成年の事件であることなどを考え、弁護側の「席替え」希望をいったん認めた。しかし、検察側が「法廷の秩序維持が保てない。被告を特別扱いするのは裁判に対する国民の信頼を傷つける」などと異議を申し立て、「待った」をかけていた。

 合田裁判長は28日午前に開かれた公判の冒頭で「検察側には不服申し立てする利益がない」として申し立てを退ける決定をした。

最近はあまり問題になっていないようですが、かつては、身柄事件で、被告人の両脇に護送担当の刑務官や警察官がついていること(いわゆる「サンドイッチ方式」)が、被告人と弁護人との意思疎通を阻害する、ということで弁護人が猛烈に抗議したり、刑務官等は戒護権を主張して譲らなかったりといった対立がありました(今でもその問題が解消されたというわけではありませんが)。
被告人の着席位置については、裁判所の訴訟指揮権に基づいて決めるべき問題ということになると思いますし、被告人によって異なる取り扱いをすることは法廷の秩序維持上、問題があるという、本件での検察官の主張もわからないではありませんが、保釈中で戒護権の問題は生じない上、弁護人の隣に着席することについて、合理的な理由(意思疎通の便宜のほか、未成年者である被告人の精神面への配慮)があるようですから、今回の東京地裁の決定は妥当ではないかと思います。
アメリカの刑事裁判を見ていると、被告人と弁護人が、正面を向いて並んで着席していますが、裁判員制度も開始されようとしている中で、法廷での着席位置についても、先入観を捨てて再検討する必要があるでしょう。