牛肉偽装事件、別人の調書を証拠採用…検察が謝罪

http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20050324i401.htm

このニュース、指宿教授のブログ経由で知りました。
ここまで問題になることはほとんどありませんが、弁護人が開示を受けた証拠と、実際の証拠カードの記載が一部異なっているという過誤は、時々起きます。
公判立会検察官は、提出する証拠を整理した後、書証の右上あたりに鉛筆書きで立証趣旨を書き、それを事務官が見ながら証拠カードを作成する、ということが一般的ですが、その際に、事務官が記載ミスをしたり、記載すべき証拠を欠落させてしまったり、ということが時々起きます。また、弁護人に当初開示した証拠に、後から別の証拠を加えたり、逆に開示した証拠の中で請求しない証拠が出たりして、そのまま証拠カードを作成してしまうと、弁護人が開示を受けコピーして持っている証拠と、実際の請求証拠にズレが生じることもあります。
こういった過誤を防止するためには、第1回公判前に、検察官が弁護人に証拠カードを交付する(できれば開示の時点で交付してそれを見ながら弁護人が証拠を検討する)というのが望ましいのですが、現状では、公判当日にならないと証拠カードは弁護人にわたらないのが通常なので、過誤があり、証拠が多くて公判で確認しきれないと、このニュースにあるように、後になって、過誤が発覚する、ということも起きてきます。
ただ、通常は、3者間で了解しあった上でカードのほうを修正したり、別の証拠が出てしまっている場合は、本来の証拠と事実上差し替えたり、といった形で解決しているのが実務です。
個人的には、簡明な事件を除き、検察官が証拠カードを作成したら、少なくとも公判の2,3日前くらいまでに、電子メールの添付ファイルか何かで弁護人に証拠カードを送る、といった運用が良いのではないかと思いますが、こういうことを言うと、電子メールが使えない人はどうするんだとか、インターネットが使えない人はまだ大勢居るぞ、といった「お叱り」を受けそうですね。