航空券詐欺で逮捕のJTB元社員、異例の拘置取り消し

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050326-00000501-yom-soci

拘置に対する準抗告を申し立て、「特捜部は前回の起訴の際、今回の事件の捜査も終えて起訴を断念していた。新たな証拠が見つかった形跡もないのに逮捕したのは不当」などと主張した。

なぜ、判決間近という今頃になって、同種余罪について新たな逮捕・勾留を行うのか、非常に理解に苦しみます。
被告人・弁護人が上記のような主張している通りかどうかはわかりませんが、そのように主張されても仕方がないように思います。そうではない、と言うのであれば、特捜部側として、新たに余罪が発見されたとか、新たな証拠が収集された、といった事情を明示すべきでしょう。

小川育央裁判長は、決定で「罪を犯したことを疑う理由はある」と述べたが、最初の起訴状に「追起訴予定」と記載されていたことなどから「検察官は当時、今回の事件の追起訴を視野に証拠を収集し、被害者から詳細な供述を得るなど捜査を進めていた」とし、これまでの証拠を利用した任意捜査は可能と判断した。

 さらに「被告は保釈後も公判に欠かさず出廷していて逃亡を疑う理由はなく、罪証隠滅の具体的な恐れがあるとも言えず、拘置の必要性はない」と、特捜部の拘置請求を却下した。

裁判所の認定では、本件は「新たな余罪」でも、「新たに証拠が収集された」わけでもない、ということになるのでしょう。
罪証隠滅の恐れや逃亡の恐れは、基本的には「事件単位」に認定されるものですが、おそらく、本件は、既に起訴されている事件と方法や態様が同一で密接な関連性があるので、「勾留の必要性」というところで否定したのではないかと思います。
昔は、「特捜部の捜査に誤りはない」などと豪語された時代もあったようですが、時代が変わり、特捜部の神通力も落ちてしまったな、というのが実感ですね。