邦人遺体、神奈川県警が司法解剖へ

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130124-00000129-yom-soci

神奈川県警は、死亡が確認された日揮の社員ら日本人の遺体が帰国して以降、刑法の国外犯規定に基づき、殺人と逮捕監禁容疑で捜査を進める。

国外犯規定は、日本人が海外で殺人などの犯罪の被害に遭った場合、日本の捜査当局が捜査できると定めている。
県警幹部によると、被害者の居住地を管轄する都道府県警が捜査を行うのが通例で、今回は日揮の本社が横浜市にあるため同県警が捜査する。

刑法では、

(国民以外の者の国外犯)
第三条の二  この法律は、日本国外において日本国民に対して次に掲げる罪を犯した日本国民以外の者に適用する。
一  第百七十六条から第百七十九条まで(強制わいせつ、強姦、準強制わいせつ及び準強姦、集団強姦等、未遂罪)及び第百八十一条(強制わいせつ等致死傷)の罪
二  第百九十九条(殺人)の罪及びその未遂罪
三  第二百四条(傷害)及び第二百五条(傷害致死)の罪
四  第二百二十条(逮捕及び監禁)及び第二百二十一条(逮捕等致死傷)の罪
五  第二百二十四条から第二百二十八条まで(未成年者略取及び誘拐、営利目的等略取及び誘拐、身の代金目的略取等、所在国外移送目的略取及び誘拐、人身売買、被略取者等所在国外移送、被略取者引渡し等、未遂罪)の罪
六  第二百三十六条(強盗)及び第二百三十八条から第二百四十一条まで(事後強盗、昏酔強盗、強盗致死傷、強盗強姦及び同致死)の罪並びにこれらの罪の未遂罪

とされ、日本国外において日本国民に対し殺人罪、逮捕監禁罪が犯された場合も刑法の適用があるとされています。過去の海外における国民が被害に遭ったテロ事件でも、日本の警察当局が捜査を行った例があり、今回も、可能な捜査は行うということでしょう。
捜査により、この悲惨なテロ事件の、全貌までは無理でも、その一端でも解明されることを強く期待したいと思います。捜査の過程で、こういったテロを避ける道があったのか、どうすればよかったのか、といったことについても、何らかの有益な資料が得られれば、今後の再発防止へとつながるでしょう。

2013年01月23日のツイート

64(ロクヨン)

64(ロクヨン)

64(ロクヨン)

昨年11月以降、ぽつりぽつりという感じで読んでいたのですが、ようやく読み終えました。6百数十ページという大著で、長かった、というのが実感です。ただ、読後感としてはいまいちでしたね。
(以下、ネタばれ注意)
数日しかなかった昭和64年に発生し、犯人未検挙の身代金目的誘拐事件に絡んで、県警内の刑事部と警務部の争い、刑事部長ポストが県警採用者ではなく警察庁キャリアになる、ということに対する反発、といったことで、物語はだらだらと進みますが、所詮、小さなコップの中の争いのようなもので、これをおもしろいと思う人もいるのかもしれませんが、私にとっては、興味を感じるようなものではありませんでした。
肝心の身代金目的誘拐事件については、捜査の失態が隠ぺいされていた、ということが明らかになり、これは、と期待しながら読み進めたのですが、結局、被害者の父親(犯人の声を電話で聞いて覚えていた)が、県内の人々に何年もかけ片っ端から電話をかけた結果、犯人を特定した、という、およそリアリティに乏しい話の流れになっていて、その結果、逆にその犯人に対して身代金目的誘拐(誘拐は狂言であるものの)を仕掛ける、という、リアリティに首をかしげるような展開になっていて、長い物語中に仕込まれたいくつもの伏線(主役の県警広報官の娘が行方不明になっていることなど)は、そのままになってしまっていて、読んだ後、中途半端な印象を持ちました。
警察の内部がリアルに描かれているのはおもしろいと思いましたが、プロットをもっと考え抜いてほしかった、というのが率直な印象でした。大作であるだけに、残念さが残る読後感でした。

サイバー犯罪と刑事捜査を考える 児童ポルノ単純所持規制の論点

http://kokucheese.com/event/index/69491/

うぐいすリボン主催:院内勉強会
サイバー犯罪と刑事捜査を考える 〜児童ポルノ単純所持規制の論点〜

日時:2013年2月20日(水) 18:00〜19:30
場所:参議院議員会館・講堂

内容:
 元検察官の落合洋司 弁護士を講師に招き、児童ポルノの単純所持を禁止した場合に考えられる刑事訴訟法上の問題について講演をして頂きます。
 国会では、これから児童ポルノ禁止法の改正審議が行われることが予想されます。
 人身売買や子どもたちへの性的虐待を撲滅するために、効果的な取り締まりが必要とされる一方で、無関係の人が刑事捜査の対象となることで社会的信用を失ったり、冤罪事件が起きたりといったことがないための対策も必要です。
 電子メールで児童ポルノ画像が送りつけられたからといって、家宅捜索を受けたりパソコンが押収されたりすることがないためには、どのような立法があり得るでしょうか。
 児童ポルノの適正規制に向けて、理論と実務の両面から考察します。

上記のような講演会に、講師として出ることになりました。単純所持まで取締りの対象になった場合、対象がかなり広範囲に及ぶだけに、過剰な取締り、捜査権力の濫用など、様々な弊害も発生する可能性があります。反警察、反権力といったスローガン的な見方ではなく、現行の実務の現状を踏まえた場合、何が起き得るのか、ということを、冷静に検討しておく意味はあるでしょう。そういう観点で、準備してお話したいと考えています。

AKB48の河西さん写真集、発売中止 講談社

http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/130124/ent13012422430016-n1.htm

胸を少年が手で覆い隠した写真が問題となり、写真集の発売を延期。その後、関係者の話し合いがまとまらないため、発売を見合わせることにした。

これが、民事での問題なら、ドーンと金を積み和解してすっきりさせ予定通り進める、といったことも十分可能ですが、刑事が絡むと、そうはいかないので、厄介ですね。刑事で立件する、しない、というのは、特にこういった特定の被害者がいなくて(敢えて言えば例の少年ですが、普通の被害とは異なります)立件する、しない、どちらの選択も可能そうなものは、捜査機関幹部の裁量で決められる傾向が強く、「いつまでに」という制限もないので(時効による制約はありますが)、1年、2年たって突然立件、ということは多分ないとしても、半年くらいたった時点で、突如として立件される、といったことは、あってもおかしなく、立件されるんですかどうなんですか、と聞いても教えてもくれないので、かなり不安定な状態で推移しがちです。おもしろおかしく写真集を出版したりすると、それが引き金になって立件、ということも、起きないとは限りませんから、講談社側として、当面、捜査当局を刺激しないようにしておとなしくしておこう、ということになった可能性はあるでしょう。
皆で、児童ポルノの勉強でもしながら、おとなしく待つ必要がありそうですね。