絶海の硫黄島

(1)約束 祖父捜す思い、東北の人と一緒
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/topics/504815/
(2)絶望 生還4%の戦場「本土の盾に」
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/diplomacy/504921/
(3)英霊 父がいたから今がある「最後の一柱まで遺骨収集」
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/dompolicy/505037/

補給も支援もない孤立無援の戦闘を、大越は今、こう振り返る。「本土への攻撃を少しでも遅らせようという戦いだった。僕たちは、日本本土の盾だと思っていた」

野瀬は、まだ10年間は硫黄島の遺骨収集に携わり続けようと思っている。この問題を後世に残さず、自分たちの世代で済ませたいという意志がある。「この島で人生が狂った人がたくさんいる。その人たちはどこで『もういいです』というのかな。俺はやっぱり、最後の一柱までというのが願いだな」

硫黄島における戦いは、米軍が圧倒的に優勢な兵力で攻撃したにもかかわらず、日本軍よりも米軍の死傷者数が上回っていたという、当時の島嶼戦としては稀有なものでしたが、それは、栗林兵団長の戦闘指揮によるものだけではなく、将兵の奮闘努力によるところが大きかったと言えるでしょう。小笠原兵団は、再応召された、年齢の高い将兵も多かったようで、決して精強な部隊ではなかったものが、あれだけの戦果を出したのは、記事にあるように、国を思い本土の盾となるという必死の思いであったことは間違いないと、しみじみと感じるものがあります。
誤った国策、戦略に従い、絶海の孤島で、故郷を、家族を思いながら散った人々に何の罪もなく、きちんと遺骨収集をやり遂げることが、今の我々が為すべきことであるということを強く感じました。

2011年05月01日のツイート

PTSD治療の専門家、東北で20人足らず

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110501-00000806-yom-sci

防衛医大精神科の重村淳講師は「今回は被災者と救援者の数が膨大。患者が数千人に上る恐れがある」とみる。
治療では抗うつ薬などが使われるが、効果があるのは患者の2〜4割程度とされる。国際的に有効性が確認されているのが、心理療法の「暴露療法」。医師らが患者の恐怖体験を引き出し、安心感を与えながら恐怖心の克服に導く。武蔵野大学人間関係学部の小西聖子教授によると、経験豊富な治療者が行うと、3〜4か月で7割の患者の症状が大きく改善するが、こうした治療者は日本中で20人未満で東北地方にはいない。

私自身、この分野に詳しいわけではないのですが、日本全国でも、PTSDの治療で高い専門性を持つ医師は、まだ多いとは言えないのではないかと思います。
今後は、上記の記事で紹介されているような熟達した治療者をローテーションを組んで被災地に派遣したり、ITを活用した遠隔診療を取り入れるなどして、できるだけ行き届くような治療体制を構築すべきでしょう。
遠隔診療に、法令上の制約はないかと検索してみたところ、厚労省から、大震災後に、

情報通信機器を用いた診療(遠隔診療)等に係る取扱いについて
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000016bx1.html

という事務連絡が出ていて、その中でも、

遠隔診療通知においては、「初診及び急性期の疾患に対しては、原則として直接の対面診療によること」としながらも、「直接の対面診療を行うことが困難である場合(例えば、(中略)遠隔診療によらなければ当面必要な診療を行うことが困難な者に対して行う場合)」については、「患者側の要請に基づき、患者側の利点を十分に勘案した上で、(中略)遠隔診療によっても差し支えないこと」としている。このため、今般の震災の影響で遠隔診療によらなければ当面必要な診療を行うことが困難となった被災地の患者については、初診及び急性期の患者であっても、患者側の要請に基づき遠隔診療を実施して差し支えないものとする。

とあって、上記の要件を満たせば、初診、急性期であっても遠隔診療が可能となっていますから、積極的に遠隔診療の方法も導入して、治療しないまま放置、ということがないようにしてほしいと思います。

郵政事業会社が転居届に関わる情報について負う守秘義務が弁護士法23条の2に基づく照会に対する報告義務に劣後し、報告を拒絶したことに正当な理由はないが、照会の権利・利益の主体は個々の依頼者ではないから、不法行為に基づく損害賠償を請求することができないとされた事例(東京高判平成22年9月29日・控訴棄却確定)

判例時報2105号11頁以下に掲載されていました。
上記のような弁護士会照会に対し郵政事業会社が「信書の秘密」を理由に拒絶したことについて、判決では、住居所に関する照会の限度で、報告義務が守秘義務に優越すると判断し、この種の信書、通信に関する弁護士会照会に関する回答の在り方として、参考になる判断を示しています。
また、上記のような不法行為による損害賠償請求については、弁護士やその依頼者を損害の主体と認める裁判例と、認めない裁判例の双方がある中、本判決では否定説に立っていて(判例時報のコメントでは積極説はいずれも地裁判決で、否定説の中の1つが大阪高判)、この種の訴訟を提起しようとする場合、十分に検討しておくべき判決であると言えるでしょう。