強姦事件:不起訴の男性が国に勝訴 東京地裁

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20091007k0000m040126000c.html

三村晶子裁判長は「必要な捜査を怠り、検察が男性の拘置を続けた点が違法」と指摘した。
判決によると、男性は女性の告訴に基づき05年2月、警視庁に逮捕された。9日間の身柄拘束後に釈放され、東京地検が3月に不起訴処分とした。
判決は「性行為の後も女性は男性と飲食。性行為は合意の上だった」と男性の主張通り女性の告訴は虚偽と認定した。

この記事を読んで思い出したのですが、昔、ある地検に勤務した際に捜査を担当した事件で、夜間、ベランダから侵入してきた見ず知らずの男に、被害者の女性が強姦されたという事件があり、そこまでであればごく普通の強姦事件ですが、2人は、その後、繰り返し会ってセックスもする関係になっていて、何らかの事情があって、その後、告訴があり、最初の「ベランダから侵入」が立件されていました。被疑者も、それが強姦であることは特に争っておらず、深夜、見ず知らずの男が侵入してきて和姦ということはないだろう、ということで起訴し、公判でも争われず有罪になりましたが、今考えても腑に落ちないところのある、不思議な事件でした。この種の性犯罪(かどうかが問題になる案件、と言ったほうが正確でしょう)には、通常の経験則では推し量れないような、真相をつかみにくいところがあるような気がします。それだけに、そういった事件を「裁く」ということは、時に著しく困難なものになるでしょう。

鞆港埋め立て・架橋問題:埋め立て、差し止め 景観へ影響重大−−広島地裁判決

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20091001dde001040011000c.html

原告は、埋め立て対象の海に排水権を持つ人など163人(提訴後に4人死亡)。景観利益は法的保護の対象か▽計画は公水法や瀬戸内海環境保全特別措置法(瀬戸内法)の要件を満たしているか−−などが争点だった。
能勢裁判長は景観利益について、最高裁判決などをもとに、「法律上保護に値するもの」と認定。鞆の浦の景観を「歴史的、文化的価値を有する」などと評価し、「工事が完成した後に復元することはまず不可能」と指摘した。そのうえで、「埋め立てや架橋などは、瀬戸内法等が保護しようとしている景観を侵害するもので、政策判断は慎重になされるべきだが、よりどころとなる調査・検討が不十分、判断が不合理な場合は裁量権の逸脱にあたる」と判示。県などが主張する埋め立て・架橋による交通混雑解消の効果などについて「調査が不十分」「判断が不合理」と断じた。

私は人並み以上に歴史に興味を持っていて、歴史的、文化的景観の保護の必要性も理解していますが、そういった保護は、同時に、そこに住む人々の生活を不便にし悪影響を与えるということも認識する必要があると思います。そういった不便、悪影響ということは、景観の保護が国民全体の利益になる以上、国民全体の負担により補てんする、ということをすべきであり、そこは行政が適切に対応できるよう、制度を整備し予算措置も講じる必要があるでしょう。
この判決を契機に、単なる「景観か否か」といった単純なレベルで話が終わるのではなく、地元住民の生活のクオリティを維持、発展させつつ景観を守るためには何をすべきか、という建設的な議論へとつながることを期待したいですね。

特別背任:高設定スロット教え損害…静岡で容疑者逮捕

http://mainichi.jp/select/today/news/20091007k0000m040116000c.html

県警によると、パチンコ店の社員の不正を同容疑で立件するのは全国初という。
逮捕容疑は、小池容疑者が今年5月27日、勤務先のパチンコ店で、出る台を佐野容疑者に教え、一緒に逮捕された男2人に遊技させてパチンコ会社に約15万円の損害を与えたとしている。

こういった行為に特別背任罪適用というのはかなり珍しいと思いますが、「出る台」というものは、誰が遊戯しても出る台ではないかと思われ、特定の人間が遊戯したからと言って、会社に財産上の損害が生じたと言えるかどうか、素朴に疑問を感じますね。
警察が、「全国初!」などと言ってマスコミに売り込みマスコミもそれに踊らされて記事にするが不起訴、というケースもあって、立件したのも全国初だが不起訴になったのも全国初、ということになってないかどうか、事後のフォローということも、報道したマスコミには望みたいという気がします。