禁固刑で失職「かわいそう」 被害者家族が嘆願書

http://www.kahoku.co.jp/news/2008/02/20080208t63024.htm

乗用車で70代の女性をはねたとして、業務上過失傷害罪に問われた福島県いわき市の地方公務員の男(25)の控訴審判決公判で、仙台高裁は7日、禁固1年、執行猶予2年を言い渡した福島地裁いわき支部判決を破棄し、罰金100万円(支払えない場合は1日当たり5000円換算の労役場留置)を言い渡した。
地方公務員は禁固以上の刑が確定すると失職する。弁護側は判決言い渡しの直前、男の失職を心配する被害者家族の嘆願書を証拠として提出。一時休廷の後、高裁は被害者側の意も酌み、禁固より軽い罰金刑を選択した。
男は事故後、被害者家族に謝罪し、被害弁償に努めていたという。

昔、若手検事の頃、公判請求されるとその職を失う、という立場の被疑者に関する交通事故の事件捜査を担当したことがありましたが、覚えているのは、地方公務員と僧侶(その所属する団体の方針で公判請求すると除籍、とのことでした)です。
失職するのは、確かに「かわいそう」ですが、だからと言って、一般人とあまりにも大きく異なる取り扱いをすることも、公平を欠くことになり、なかなか悩ましいところではあります。
上記の記事の事件は、記事によると横断歩道上の事故であり被害者を意識不明に陥らせたともあって、通常であれば、実刑すら問題なりそうな、とても罰金では済みそうにない事件ですが、被害者に対する慰謝の措置にかなりの誠意が見られたのかもしれません。高裁裁判官の琴線に触れる何かがあったのでしょう。
以前であれば、この種の事件での罰金は上限が50万円でしたが、改正により100万円に引き上げられていて、以前のように上限が50万円であれば、1審が宣告した禁錮1年・執行猶予2年との比較上、軽すぎるという印象がより強く、減刑に踏みきりにくかったかもしれず、改正の影響が、本件では良い方向で出たという印象も受けました。

岩手の蘇民祭:「全裸は公然わいせつ」今度は県警が警告

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20080209k0000m040141000c.html

1月、水沢署から全裸への事前警告が口頭で数回初めてあった。荒川文則副署長は「『神事だから黙認』と思われていたかもしれないが、法律に抵触する行為があればしかるべく措置するスタンスは不変。昨年までも現場で警告制止してきた」と話す。境内での宗教行為だから罪にならないとの声もあるが、荒川副署長は「観光客がおり、公然性がある」と言う。

公然わいせつ罪の構成要件中、上記のような行為が「わいせつな行為」にそもそも該当しない、という考え方もあり得、また、構成要件には該当するとしても、正当業務行為として違法性が阻却されるのではないか、という考え方も十分成り立ち得ると思います。
有名な憲法判例で、警察が行方を追っている被疑者を、教会の牧師が事情を知りつつ教会内に宿泊させ、説得を重ねた上で警察に出頭させた行為につき、犯人蔵匿罪で起訴されたのに対し、裁判所が、正当な牧会活動であり正当業務行為であるとして無罪とした事件があります。
それと同様の問題が、もし、この件が起訴されれば発生する可能性が高く、2月13日から14日にかけて行われるこの祭りや、警察の対応、さらに、盛岡地方検察庁の対応が注目されると思います。
この祭りの見物客は、日本の憲法訴訟史上に残る歴史的な事件の現場に立ち会うという、稀有の経験ができることになるかもしれません。

追記:

「わいせつ」とは、判例によれば、いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものをいう、とされています。上記のような祭りにおいて、伝統や神事に則り全裸になる行為が、そのような「わいせつ」なものなのか、という、素朴かつ常識的な疑問が、まず生じてきます。
わいせつ性の判断にあたり、過去の判例は、個々の部分の判断は全体との関連において判断される必要があり、芸術性、思想性が性的刺激を減少・緩和させて、刑法が処罰の対象とする程度以下にわいせつ性を解消させる場合がある、としたり、主として見るものの好色的興味に訴えるものと認められるかなどの点を検討することが必要である、としています(山口厚・刑法各論補訂版498ページ)。
このような意味で、上記のような祭りにおける行為が「わいせつ」行為に該当するか、ということになると、かなりの疑問がある、と言えそうであり、憲法上保障された信教の自由、表現の自由等の一環としての正当業務行為として違法性が阻却されるのではないか、という点でも、肯定される可能性はかなり高そうです。

クリントン氏に不利? 共和候補マケイン氏なら 大統領選

http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2008020902086268.html

マケイン、クリントン両氏の対戦になった場合、支持率は同じか、マケイン氏がやや上回る傾向がある。米タイム誌が五日に明らかにした調査結果では両氏とも46%で互角だった。

マケイン、オバマ両氏の戦いになった場合、マケイン氏41%、オバマ氏は48%。マケイン氏が相手なら、クリントン氏よりオバマ氏の方が強いとの結果が出た。

対マケインで勝てる候補を、という動きが、今後、民主党員の中で強くなって行くことは確実で、そうなれば、オバマが有利になりそうですね。
ヒラリー対オバマの華々しさの中、何となく影が薄くなりがちな共和党の大統領候補選びですが、マケインは、その経歴(ベトナム戦争で捕虜になり苛酷な環境に耐え5年ほど抑留)や考え方(信念に基づき発言、行動するタイプで共和党の主流からはやや距離を置いている)など、なかなかの人物であり、ヒラリー、オバマのどちらが候補になっても、簡単に勝てる相手ではなさそうです。