利用者急増 ブログに次ぐ新サービス

http://www.yomiuri.co.jp/net/feature/20060328nt05.htm

2ちゃんねる」に代表される掲示板や、日記風ホームページのブログは、匿名の中傷コメントが多数書き込まれてトラブルとなり、閉鎖に追い込まれるページもある。
これに対しSNSは、原則としてお互いの名前や肩書などを公開し、「責任のある立場」で意見交換や交流を行う。総務省によるとSNS利用者から大きなトラブルの報告はないという。

と、SNSを手放しで評価する論調が目立ちますが、本人確認を厳格に行っているわけでもなく、これだけ利用者が増えてくれば、不特定多数の人々が集まる場の一つになってくるのは必然ですから、あまり安易に「安心、安全」などと思い込まないほうが良いでしょう。

ソーシャルネットワークとフォークソノミーと2ちゃんねるとモバイル

http://plusdblog.itmedia.co.jp/mobilecowboy/2006/03/2_2e47.html

Web2.0の要件としてフォークソノミー(folksonomy)というものがあります。これは平たく言えばシステムの運営側がユーザに対して一元的な管理(分類)を押し付けるのではなく、ユーザ同士がある程度勝手に分類していくことで、自己組織化的に情報を共有していく、というイメージの概念です。

上記の点について、具体的に説明、解説されていて、参考になります。この流れは、今後、ますます進み、各種サービスも、その流れに応じて進化して行く、ということでしょう。
匿名か顕名か、という問題も、二者択一ではなく、匿名が適している場合は匿名、顕名がふさわしい場合は顕名、といった、一種の「使い分け」が進むような気がします。
もちろん、その場合、匿名を悪用した各種のサービス濫用(abuse)は残りますが、それを、いかに封じ込めて行くか、というのが関係者の課題であり、また私自身の課題でもあります。
「安全」を確保するために「自由」を排除するわけには行かず、後者を守りつつ(もちろん、やむをえない制約は伴いますが)、いかに前者を推し進めるか、というのが私の基本的な考え方です。敢えて言えば、テロとの闘いにしても、その他の同種・類似の問題にしても、自由で民主主義的な社会が直面する永遠の課題、とも言えるでしょう。

15階廊下、後ろ歩く男 女性も襲われる 川崎小3転落

http://www.asahi.com/national/update/0330/TKY200603290527.html

15階でこの女性は降りた後、男が「これは必要ありません」と言って女性が持っていたほうきとちり取りを取り上げて廊下に置いた。女性が「あなたは何階の人ですか」と尋ねると、男から両手でいきなり突き飛ばされたという。男はさらに、女性の肩と腰に両手を挟んで抱えようとした。女性が抵抗したところ、階段を下りて逃走したという。

おそらく、同様の手口で投げ落とされて殺害された、ということだろうと思われますが、被疑者が逮捕され、犯行を否認した場合、何をもって犯人性を認定し立証するか、ということが深刻な問題になるでしょう。
犯行を直接目撃した人、あるいはそれを撮影したビデオ自体はないはずですから、各種の状況証拠を駆使して立証できるか、ということになるはずです。
既に、一種の「公開捜査」状態になってしまっているようですが、早期の犯人検挙のためには、情報を公開する前に、マンション全体を警察による厳重な監視下に置き、再びやってきた犯人を検挙する、という方法もあったのではないか、とも思いますが、上記の未遂事件も発生しており、そういった手法は無理だったのかもしれません。

「矜持」の命名めぐり判決 教諭が国や市に慰謝料請求

http://www.chugoku-np.co.jp/NewsPack/CN2006033001000078_National.html

男性は、人名用漢字の制限は表現の自由を保障する憲法に違反すると主張。矜は普通の漢字で、意味も問題はないとし、使用が公共の福祉に反する事情はなく「戸籍法などによる制限は合理的ではない」と訴えている。

「矜持」というのは、なかなか良い言葉で、これを名前としてつけたい、という親の気持ちは理解できます。
表現の自由、という構成以外に、自己決定権の一環としての親の「命名権」の問題、という捉え方もできるでしょう。
人名用漢字を限定し、それ以外の漢字は一切使用できない、と排除するのは、上記のような権利に対する必要やむを得ない制約を逸脱している、という考え方も十分可能であると思います。

追突でも「監禁致死」成立 最高裁、因果関係認める

http://www.kahoku.co.jp/news/2006/03/2006032901005760.htm

被告は知人2人と共謀し、2004年3月、岸和田市の駐車場で男性に暴行を加えトランクに監禁。市内の路上に停車していたところ、別の車が追突し、男性は死亡した。追突原因は運転していた男性の前方不注意だった。

行為と結果との間に相当因果関係があるか、を考える際、相当性の判断は、「稀有ではない」という程度で足りる、とされていますから、上記のような追突事故は、これだけ交通事故、追突事故が多い中では、稀有なものとはいえず、相当因果関係を認めた最高裁の判断は、妥当な範囲内のもの、という印象を受けます。
最近出た前田雅英・刑法総論講義第4版(東京大学出版会)では、客観的帰属論に立ち、行為後に介在事情が生じた場合に、結果を帰属(帰責)させる要件として、
1 実行行為に存する結果発生の確率の大小(広義の相当性)
2 介在事情の異常性の大小
3 介在事情の結果への寄与の大小
を挙げますが(同書185ページ)、この要件に照らしても、おそらく因果関係は肯定されることになるでしょう。

別ブログのリニューアル

以前にも紹介した

http://d.hatena.ne.jp/yjochi_reserch/

ですが、4月から、法律的なトピックを中心としたブログにリニューアルすることにしました。本ブログの「日々是好日」という名前を少しもじって、「日々是勉強」としました。
トピックとしては、当面、
1 刑事法、刑事事件全般(サイバー犯罪を含む)
2 人格権を巡る諸問題
3 インターネット問題全般
4 知的財産権に関する問題(ただし、インターネット上の悪用・濫用防止の観点を中心)
を主に取り扱う予定です。更新は不定期となります。
また、当面、公開状態にしますが、遠くない将来、プライベートモードに切り替え、閲覧できる方々(勝手ながら限定させていただく予定です)の間で、コメント欄を活用して議論等が活発に行える状態にしたいと考えています。
上記のような諸問題は、今後も、本ブログで取り上げますが、やや専門的な内容、突っ込んだ議論などは「日々是勉強」で取り扱う、という位置づけとご理解下さい。
引き続き宜しくお願いします。

村岡元官房長官に無罪判決…1億円ヤミ献金事件

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060330-00000005-yom-soci

この事件、以前から本ブログでも、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20050925#1127578295
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20050129#1106966055
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20041204#1102126623
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20041009#1097277005
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20041004#1096899282
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20040929#1096463561
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20040926#1096168758

とコメントしていて、「何だか変な事件だ」という印象を持っていましたが、遂に無罪が出ました。
直近のエントリーでは、

あくまで一般論ですが、複数人の関与が疑われる事件で、起訴、不起訴を合理的なプロセスを経て決めないと、そこから感じられる問題性が、その後の裁判所の心証に大きな影響を及ぼし、起訴された人々に対する有罪認定に大きく影響する場合があります。

と述べましたが、証拠関係や裁判所による評価は、判決文で是非見たいと思っています。
「特捜神話」も今や過去のもの、ということかもしれません。

日歯連献金事件>冤罪、スケープゴート 無罪判決の村岡氏
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060330-00000125-mai-soci

言い渡し後、川口裁判長は「長い間ご苦労様でした。桜が咲いています。これから先どうなるか分かりませんが、せめて今晩一晩ぐらいは平穏な気持ちで桜を見て楽しまれてはいかがでしょうか」と語りかけた。
村岡元長官は涙で言葉にならず、2度頭を下げた。

忠臣蔵で、切腹の場に向かう途中の浅野内匠頭に対し、先導する目付の多門伝八郎が、「浅野殿、桜が・・・」と声をかけ、桜に目を向けた浅野内匠頭が、物陰で声をしのんで泣いている家臣の片岡源五右衛門に最期の別れを告げる、という名場面を思い出しました(村岡氏に先がない、と言っているわけではありませんので、誤解なきよう)。

新たな手掛かりなく11年 警察庁長官銃撃事件

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060330-00000204-kyodo-soci

南千住警察署の屋上に、プレハブ小屋みたいな建物を作って、そこを拠点に大捜査陣が展開していたはずですが、今でも同じ状況なんでしょうか?

2004年に殺人未遂容疑などで逮捕した警視庁元巡査長らが不起訴となって以降、現状を打開する新たな手掛かりは得られていない。

あの時点で、一気に勝負に出て挫折してしまった以上、さらに何ができるか、と言われても、ため息しか出ないのではないか、と思います。
かつて、ほんの少し捜査に関わったことがある者としても、残念に思います。

警察庁長官狙撃:容疑者逮捕「やはりオウムか」
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20040707#p3
警察庁長官狙撃事件・雑感
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20040801#p11
警察庁長官狙撃事件・・・何が問題だったか
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20040801#p6