「P2Pコミュニケーションの可能性と法的課題」について(その1)

http://www.dcaj.org/contents/frame03.html

昨日午後、行ってきました。真面目そうな会社員風の人がほとんどの中、赤いL.L.Bean上着を着た私は、場違い(?)な感じでした。
それはともかく、なかなか有益なシンポジウムで、参考になりました。以下、その内容ですが、もらった資料や聞き取った内容に基づいているものの、やや網羅的ではない面があり、あくまで「私」というフィルターを通しているので、その点、ご留意下さい。

第1部 P2Pの可能性と違法有害情報への対応
第1 P2Pの理念とその活用―その本質と効果―
(星合隆成 NTTネットワークサービスシステム研究所主幹研究員)
1 P2Pの本質とは何か。
P2P以前の考え方は、ブローカ中心であり、サービス提供者が用意するコンピューティング資源の有効活用、というものであったが、P2Pの本質はブローカレスであり、ユーザ(サービス利用者)のコンピューティング資源の有効活用である。両者は、ビジネスモデルの視点が異なっている。
 ブローカ型の場合、高性能かつ膨大な数のサーバ、大容量の通信回線が必要になり、膨大な設備投資、多大な投資リスクが必要になる。また自由度が低い。これに対し、ブローカレス型では、設備投資が不要であり、投資リスクが小さく、自由度が高い。
 つまり、P2Pの本質は、ブローカレスのコミュニケーションモデル(新たな通信パラダイム)であり、ピアとピアが直接通信することではない。P2Pは理念であって手段ではない。P2Pの技術には種々のものがある。
2 P2Pの効果とは何か。
① 低コスト
② 高い自由度、柔軟性
③ 高いスケラビリティ(ボトルネックがない)
④ 高い耐故障性
⑤ 自律性・個の尊重
⑥ プライバシー、ポリシー保障
3 様々な分野・業界への適用事例
 P2Pへ注目する人々や業界は多い。地域情報化、自動車業界、広告業界、ゲーム業界、マスコミ業界、グリッド、流通業界、また、業種間の連携・協調。
4 P2Pと著作権問題をどう考えるか。
① P2P=ファイル交換サービスではない。様々なサービスが存在する。
② P2Pと著作権問題は直接関係がない。P2P技術を用いているスカイプは、著作権問題を引き起こしてはいない。
③ P2Pはデジタル技術(複製技術)ではない。
5 提言
① P2Pを味方にして有効活用
② 配信技術に依存しない著作権管理技術の確立
 本来、両者は独立に成立する技術
 P2Pを問題視するのは、P2Pが強力な配信技術であることの裏返し
③ モラル・良心に恥じないサービス・技術の確立

第2 振り込め詐欺メール等有害情報への対策
(鈴木正朝 ニフティ株式会社情報セキュリティ推進室課長)
 オンライン型の犯罪行為には、オンライン振り込め詐欺のように、被害者をおびき寄せるための情報をあらかじめ撒き餌のようにネット上にばらまくことからはじまるものがある。これは、一種の有害情報ということもできる。
 オンライン振り込め詐欺は、ワン切りのような電話による場合やワンクリック詐欺のようなメールによる場合だけでなく、近年はP2Pのようなブローカレス型も登場してきており、通話記録や接続記録などの痕跡すらなくなり、より匿名性が高くなっている。したがって、ブローカ型を前提とする電話会社やISPに対する犯罪捜査にも限界がある。
 ブローカレスモデルの一例として「VoIP SPAM」がある。ワン切りのIP電話版であり、メッセージを留守録に残し、被害者が電話をかけると有料サービスと称して支払を求める。IP電話はP2Pのため、メールのSPAMフィルタのようにセンター側でブロックすることができない。
対策案
1 「行政」経済産業省・警察等と金融庁とが連携しての口座凍結措置の制度化
2 「司法」振り込んだ被害者の迅速な救済
  福島弁護士方式による金融機関からの口座名義人の開示請求
  返還訴訟の提起(不当利得・不法行為
3 「被害者予備軍」リテラシーの向上
4 「民間(事業者団体等)」通報への協力、広報活動への協力
要望案
 「警察」未遂事件の捜査の徹底の要請
(口座情報は、未遂事件を積極的に掘り起こすことでより多く集められる)
課題
1 警察が捜査の過程で取得した口座情報を、迅速に被害者側に開示できる制度を創設できないか?
2 被害者に民事訴訟の負担を課すことなく、振り込んだ被害者に現金を還付する簡便な手続は考えられないか?
3 例えば、被害申告→行政庁による審査→金融庁などによる預金凍結命令→公告→預金者の異議申立→(異議申立期間の徒過)→行政処分に基づく金融機関による預金の強制解約手続→供託的管理→被害者を特定しての還付・不明の場合は国庫

「P2Pコミュニケーションの可能性と法的課題」について(その2)

第2部 P2Pとコンテンツ産業
第1 P2Pコミュニケーションの可能性と法的課題
(上村圭介 国際大学グローバル・コミュニケーションセンター講師)
1 P2Pとファイル交換・共有
 両者はイコールではない。
①P2P
 間にサーバなどを介さず、直接通信を行う
 サーバに蓄積されることがないのでリアルタイムな情報やコンテンツが入手できる
 ファイルの送り手と受け手が「クライアント」と「サーバ」の機能を備えた共通のソフ
トウェアを使用する
②ファイル交換
 ファイル名やキーワードで探したファイルを入手する
 ファイルの持ち主が誰かは問わない
2 P2Pの経緯・話題になったP2Pソフトウェア
 ナップスター以前
 ナップスターグヌーテラWinMXWinny
 グヌーテラ2、FastTrack(スカイプでも使用)
3 転送と検索という2つの軸から見たP2P
4 P2Pの動作の3類型のイメージ
① 仲介型(例としてナップスター)運営主体がサービスに付加価値を加えやすい。
② 伝言型(例としてグヌーテラ)  
③ 放流型(例としてWinny) アップロードとダウンロードの非同期化がポイント
5 P2Pはどう「進化」してきたか
① 管理のボトルネック解消
② 配信効率の向上 伝言型はどうしても配信や検索の効率が低下する
③ 「ただ乗り」への対策 
④ 匿名の強化 データの暗号化・キャッシュ化 送受信者の匿名化
⑤ P2Pのレベル どの「層」におけるP2Pか、データ転送の同期性、非同期性
5 これからのP2P

コンテンツホルダーと利用者の健全な関係の構築が必要ではないか」

第2 P2Pソフトの利用実態とコンテンツ関係者の見解
(戸叶司武郎 ヤマハ株式会社 法務・知的財産部著作権・商標グループ)
 ACCS、日本レコード協会の調査結果や日本レコード協会の活動紹介、関係者への直接インタビューの結果、公開情報から収集した情報を分析した。
1 P2Pソフト利用実態調査
 利用経験者推定は約240万人(前回は185万人)、アクティブユーザーは約95万人。
 男女比はほぼ半々、年代別は、30代、40代、20代の順。職業別では会社員と専業主婦が最多層。特に主婦(専業と兼業)は女性層の5割。回答者全体(約2万4000)のうち、ブロードバンド利用者は88パーセントを占めている。映像ファイルダウンロード数が増加傾向。ファイル交換されたファイルの9割は権利対象物。ジャンル別では映像、音楽、写真関連、ソフト、文書の順。
2 防止キャンペーン・活動等
日本レコード協会主催のキャンペーン
 Respect Our Music キャンペーン
 インスタントメッセージを利用(2004年11月までに400万通超を送付)
 プロバイダに対する発信者情報開示請求
3 関係者のコメント
① 著作権ホルダー
 現状のDRM無しP2Pファイル交換は、著作物利用の対応が正しくなされているとは考えにくく、権利者として許せるものではない
 P2P技術は分散処理というインターネットの基礎理念と符合する重要な技術であり、インフラ技術と流通の議論は分けて考えるべき。
 権利保護の仕組みを用意しなければ、管理責任が技術に及ぶこともあり得る。
 ファイル交換の問題は全世界の権利者の問題。
② コンテンツホルダー
 P2P技術そのものは悪いとは考えていない。
 P2PとDRMの組み合わせは有効と思われるが、検討中であり、具体例はまだない。
 P2Pが社会的に有意義になれば(利用を)認める。
③ コンテンツプロバイダ
 P2Pはインフラ技術の中の(選択肢の)一つ
 顧客獲得、サービス提供、課金徴収、ロイヤリティ処理までの一連の業務にどのような利点と欠点があるか?

第3 P2Pファイル交換に関する事件 
(小関知彦 凸版印刷株式会社 法務本部法務部部長) 

(個々の事件について概説した上で、まとめとして)
 仲介型P2Pサービスについては、サービス提供者の責任を認定。
 伝言型P2Pサービスについては、サービス提供者(ソフト配布者)の責任は認定されず。
 グロックスター事件(アメリカ連邦控訴裁でサービス提供者の責任を否定、最高裁係属中)、Winny事件(京都地裁)の結論が注目される。
 グロックスター事件では、「専ら違法に利用されている」かどうかがポイントになるかもしれない。
 ベータマックス事件の精神(違法行為の可能性により新技術を封殺すべきではない)をどのように考えるべきか。

第4 著作権の最適保護水準 P2Pファイル交換ソフトは被害を与えているか
(田中辰雄 慶應大学経済学部助教授)
 厳格な保護が最適というわけではない。著作権の保護には最適水準がある。
 調査したところ、売上が増えるとダウンロード数が増えるという関係は見出される。ダウンロード数が増えたら売上が減るという関係は検出されない。
 ファイル交換はオリジナルの売上を減らさない。なぜ?
① 需要が違う
 オリジナル(CD)を購入する人はコピーの有無にかかわらず購入する。
 ファイル交換でコピーを利用する人は、コピーが禁じられてもCDを購入するわけではない。
 一言で言えば「買うやつは買う。買わずにコピーするやつはどうせ買わない。」
② 宣伝(探索)効果、ネットワーク効果
 ファイル交換で試聴し(探索)、気に入ると購入する
 ファイル交換で流行の情報を入手し、それを購入する
証拠 中堅以下のアーティストの作品はファイル交換されると売上が増える(アメリカ)
証拠 インディーズ音楽「ファイル交換に流すとアクセスがぐっと増える」

 いずれにせよ、現状のファイル交換は経済厚生を高めていると結論せざるを得ない。
 売上が一定なら、保護を緩めたほうが良い。
「P2Pといかに向き合うか。」
 Winnyでのファイル交換はCD売上を減らしていない。したがって、経済厚生を高めていると結論せざるを得ない。
 政策上の合意:現状程度のファイル交換を抑制する必要はない。言い換えれば、現在の著作権保護は最適水準より過剰である。
 ビジネス上の合意:ファイル交換で違法コピーされることを恐れず、ネット配信に進むべきである。

第5 コンテンツ流通ビジネスへの積極的利用
(井藤好克 松下電器産業AVコア技術開発センター主任技師)
1 P2P技術のビジネス利用の考え方
コンテンツ流通ビジネスの成立要件
① 「情報伝達」 コンテンツをできるだけ多くの人に認知してもらうこと
 P2P技術の活用フィールド
② 「対価徴収」 コンテンツ試聴に対し、確実に対価を得ること
 デジタル著作権管理(DRM)技術の利用
 DRM技術との組み合わせで、新たなコンテンツ流通ビジネスを創出
2 デジタル著作権管理(DRM)技術
① 再生制御技術 不正利用を防止する技術群
② コンテンツ認証技術 コンテンツの利用状況を監視する技術
③ コンテンツ認証技術による不正監視
3 P2P技術のビジネス利用事例
 NetLeader(NTTコミュニケーションズ)
4 今後の課題と展望
① プライバシー
 DRM技術は利用者の個人情報を認証に使用
 ビジネス拡大には情報管理の更なる強化が必要
② DRM技術の乱立
 異なるDRM技術は、利用者間のコンテンツ交換やメディア返還の障壁
 DRM技術の互換性を目指す動き
③ ビジネス性
P2P技術は流通を効率化するが、コンテンツの消費量を飛躍的に増やすものではない
携帯電話へのP2P技術の採用
 常に持ち歩き他者との通信に用いる携帯電話へP2P技術を採用することで、ユーザ同士の「口コミ」による配信量の増加に期待

第6 P2Pの発展と法の枠組み
(石新智規 ジョーンズ・デイ法律事務所弁護士)
1 米国におけるP2P裁判例
2 著作権者の取りうる措置
DRMの法的保護
3 侵害幇助に対する規制の動き
 新規立法
① Piracy Deterrence and Education Act
 著作権侵害行為抑止のための教育プログラムの実施
 最高刑懲役5年
② Induce Act
 動きが止まっている
4 Alternative Compensation System
 DRMの限界
5 Levy Systemの構築及び問題点
6 将来の制度設計
 DRMと法の関係の検討
① DRM and  法
② DRM or  法
③ DRM vs.  法
 著作権の保護と文化・技術の発展の適正なバランスを考慮した現実的な制度設計が可能か
 著作権概念の変容を認めるか

「P2Pコミュニケーションの可能性と法的課題」について(その3)

第3部 パネルディスカッション
モデレータ
 大橋正春 岡崎・大橋・前田法律事務所 弁護士
パネリスト
上野達弘 立教大学法学部教授
小川憲久 紀尾井坂法律事務所 弁護士
城山康文 アンダーソン・毛利・友常法律事務所 弁護士
椙山敬士 虎ノ門南法律事務所 弁護士
鈴木正朝 ニフティ株式会社情報セキュリティ推進室課長
星合隆成 NTTネットワークサービスシステム研究所主幹研究員
宮下佳之 あさひ狛法律事務所 弁護士

(以下、興味を感じた発言要旨をかいつまんで紹介)

第1 P2Pを利用したファイル交換に対する法的規制の現状
・ Winnyについては、民事になじまない訴訟を刑事で起こすのは乱暴ではないか?
ファイルローグ事件についても、サービス提供者についてあの程度の関与で責任を認めてしまってよかったかは、検討の余地がある。
・ 仲介型かどうかでサービス提供者の責任の有無を分けるという考え方には、一応の根拠がある。Winnyについては刑法の議論。これが有罪になると、民事で差し止めの対象にならない(と現状では考えられる)ものについて、刑事で違法視されることになるが、これで良いのかということは問題になる。仲介型かどうかで分ける考え方も再検討すべきということになるかもしれない。
・ 間接侵害に関する基準を明確化すべき、という意見には同感。今後、基準をさらに明確化して行く必要性がある。
・ 条文上、基準を明確化することには限界がある。具体化しすぎることによる弊害もあるだろう。
・ 管理できないものを作っておきながら、いて違法行為に利用されるということについて、管理可能性を論じることはナンセンスではないか。

第2 匿名性の問題をどのように考えるか
・ 管理しきれない技術を作ることの問題性がある。しかし、技術とビジネス手法は分けて考えるべきではないか。一旦放流されると消せない情報は非常に問題。そういったところでの匿名性は制約されるべきではないか。
・ 匿名性を考える場合、権力批判といったことを可能にする手段を確保する、ということは考える必要がある。
・ 放流型であっても、本当に必要なときには削除等ができるという技術である必要があるのではないか?
・ P2Pと匿名性は分けて考えるべき。必然的に一体のものではない。匿名かどうかで判断するというよりも、内容によって判断する必要があるだろう。正当な表現は匿名であっても保護されるべき。
・ 匿名性と法的な規制、責任の関係が問題。健全なネットワーク社会を形成するために、一定の場合に発信者がわかるようにすべきだとは思うが、法的な構成には悩ましいものがある。

コメント:

この点について、私は、以前、このブログで

「匿名性」の今後に関するイメージ(私見
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20041122#1101051685

と述べたことがあります。

第3 P2Pビジネスについて
・ 金額、使い勝手等で、携帯電話を超えられるかどうか?DRMがかかっていても私的複製はできる、という方向で進むことで、ビジネスになるのではないか。
・ わざわざ違法なことをしてまで入手するより、買ったほうが良い、という値付けが重要ではないか。コストのかかるDRMも不要になるかもしれない。
・ 利用者の利用形態に応じて、きめ細かく課金できる、ということも必要ではないか。そのためにはDRMは不可欠であろう。DRMに対する法的保護も必要。Ipodが成功したのは、ユーザーフレンドリーだったからだと言われており、権利者側にリスクはあっても、使いやすくする必要がある。
・ 現行の著作権法では、技術的保護手段を回避して著作物を利用する行為自体を著作権侵害とは見ていない。そこは今後検討されるべき。
・ DRMの乱立は望ましくない。統一が望ましい。
・ 統一について、強制は望ましくない。自然淘汰で生き残るべきものが生き残るのが望ましい。
・ ペイパービューについては、今後、もっと考えて行くべきではないか。
・ DRMの考え方は間違っている。有体物と違って排他性がない情報は、原則利用自由で、必要に応じて利用を制限するというものであるべき。
・ 確かに、一つの考え方ではあるが、今までの考え方を全面的に崩すのは難しいだろう。
・ 著作権の問題にユーザの意見が反映されていないのは問題。
・ スカイプは、P2P技術を利用することにより画期的なシステムを構築しており、見習うべき。
・ DRMがないと、本当にビジネスとして成り立たないのか?
・ ユーザ、特に音楽ファンは、面倒なことが嫌い。P2Pサービスで法的に問題がないサービスを提供するためにはどうすればよいのか教えてほしい。

「P2Pコミュニケーションの可能性と法的課題」について(感想)

聞いていて、特に新鮮味を感じ、おもしろいな、と感じたのは、田中助教授のお話でした。調査結果と立論との間に、やや飛躍も感じましたが、こういった視点(著作権の最適保護水準、といったもの)は、法律家はなかなか持てないものなので、興味深く聞いていました。田中助教授には、更に研究を深めていただきたいと感じています。
戸叶氏の発表の中にあった、著作権者の「本音」の話にも、なかなか興味深いものがありました。「権利保護の仕組みを用意しなければ、管理責任が技術に及ぶこともあり得る。」と考えている以上、「管理責任を技術に及ぼす」という動きが、今後とも強まる可能性があるでしょう。京都地検京都府警だけでなく、その他の捜査機関にも、今回のシンポジウムで紹介されたような世界の動きや種々の議論の中で、「刑事責任を技術に及ぼす」ような動きが果たして妥当なことなのか、という問題意識は是非持ってもらいたいものです。忙しくて勉強する時間などはあまりないかもしれませんが、特定の人の特定の考え方に「踊らされる」ようなことがないようにすべきでしょう。権利者の方々、団体も、こういった明確なご意見をお持ちである以上、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20041106#1099727400

のように、招かれても公開の場に出ない、といった対応ではなく、出るべきところにはきちんと出て、建設的な議論をするという姿勢が必要でしょう。京都府警や京都地検のようなところに入り浸っているような動きをしているだけでは、捜査機関の理解は得られても、広く国民(換言すれば「利用者」)の理解を得ることは難しいと強く感じます。
全般的に、今回のシンポジウムでは、権利者の権利を保護しつつP2P技術を発展させて行こうという真面目な議論、検討が行われており、望ましい方向性であると感じました。今後とも、こういった方向で、幅広い議論が建設的に行われることを期待したいと思いました。

<静岡2店員刺殺>別件逮捕の大学生、強殺容疑で追及へ

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050308-00000011-mai-soci

これまでの調べで、2人の遺体のそばに落ちていた小型ナイフが大学生のものであったことが判明。さらに現場近くで見つかった自転車のタイヤ跡は前輪と後輪が異なる特別なタイプで、大学生所有の自転車のタイヤと一致した。大学生は事件発覚直前の27日、知人に対する治療についてクリニックに苦情を言うために訪れているほか、死亡推定時刻前後のアリバイがないという。

「怪しい」というだけでは、犯人とは言えないので、慎重な捜査が必要でしょう。
このニュースで、「別件逮捕」となっていたので、一瞬、「お?!」と思ったのですが、刑事法の研究者や実務家が問題にするような意味で「別件逮捕」と言っているのではなく、「別件で逮捕された」という、それだけの意味でこの言葉を使っているんでしょうね。

本屋さんもポイント制 三省堂、本格導入で全国波及へ

http://www.asahi.com/business/update/0308/053.html

私も、本は買うほうなので、買えば買うほどポイントがつくことは、一応、歓迎なのですが、微々たるポイントがつくよりも、むしろ、使い勝手の良さとか、的確な情報提供などに力を注いでほしいという気がします。そのために、ある程度のコストがかかり、値引やポイント付与が難しいのであれば、値引やポイントはいらないですね。
最近、立ち寄る書店では、六本木ヒルズ森タワーの中にある有隣堂が、広くない店舗でありながら品揃えが良くて、気に入っています。こういう店に対して、値引きしろとかポイント付けろ、とは思いません。

米国、「標的にされた」との伊女性記者の主張認めず

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050308-00000618-reu-int

ホワイトハウスのマクレラン報道官は、「われわれの軍が罪のない民間人を標的にするなどという見方は、ばかげていると思う」と語った。

東京大空襲で一般市民約10万人を殺戮したり、広島・長崎に原子爆弾を投下して多数の非戦闘員を殺傷した軍隊について、「罪のない民間人を標的にするなどという見方は、ばかげている」ということを口にすること自体が馬鹿げていると思いますね。
反米思想を持つ必要はないと思いますし、今後とも我が国とアメリカとの間の友好関係は維持・発展させて行くべきと思いますが、アメリカという国や米軍が、目的達成のためには、多数の非戦闘員を殺傷することも辞さないという冷酷非情な側面を持っている、ということを、我々は常に肝に銘じておく必要があると思います。

米ホワイトハウス:定例会見にブロッガー参加

http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20050308k0000e030045000c.html

米国では推定800万人が運営しているとされるブログは、既存メディアの報道を検証したり、昨年の米大統領選でも両陣営の支持者らが相手候補の批判に活用するなど、米国で新たな言論の場として浸透している。

日本でも、読み応えのあるブログが書ける人がどんどん増えてほしいものです。

偽証罪の弁護士に有罪判決 「司法への挑戦…」と京都地裁

http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2005030800046&genre=D1&area=K10

楢崎裁判長は「社長が真実を証言した後も、おく面もなくそれを論難する弁論をしたことに一片の良心も感じられない。偽証への加担を思いとどまる機会はあった。なぜ弁護士としてできないと言えなかったのか。刑事弁護士の豊富な実績があるのに、偽証への関与に葛藤(かっとう)が感じられないのは理解に苦しむ。実刑も考えられる犯行だ」と述べた。

一生懸命弁護活動をやるのは当然ですが、一線を踏み越えてはいけないし、踏み越えてはいけない一線が常に見えていないといけない、ということでしょうね。

残虐ゲームソフト、大阪府が規制を検討

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050308-00000408-yom-soci

ゲームソフト会社など約170社でつくるコンピュータエンターテインメント協会は「ゲームと犯罪の因果関係は立証されておらず、行政が規制するのはいかがか。自由な発想でゲーム作りができなくなり、表現の自由が侵害される懸念もある」としている。

規制にあたり、何が「残虐」かを、誰がどのような方法で判断するんでしょうか?見る人により、残虐の基準は異なります。行政が足を踏み入れるべきではない分野に、間違った方法で足を踏み入れようとしているのではないかと強く感じます。

NHK経済部の後藤記者

先ほど、仕事をしながらNHKのニュース10をちらちらと見ていたところ、ライブドア関連のニュースで、経済部の後藤記者が出演していました。後藤記者、というか、後藤さんは、私が大学1年生の時に、早稲田大学法学部内にある「緑法会」というサークルの幹事長として活躍されていました。その後、NHKに入局されたと聞いてはいましたが、直接会う機会はなく、時々、テレビで拝見するという状態になっています。学生時代は、どちらかというと、あまりはきはきとした感じではなく、また、少しひょうきんな感じの人だった(もう20年も前なのでうっすらとした記憶ですが)という印象ですが、テレビで見ると、難しい経済ニュースを、非常に落ち着いてわかりやすく説明するなど、20年もたつと変わるものだな(この場合は良い方向に)、という感じです。
そう言っている私自身についても、学生時代の私しか知らない人が今見ると、随分変わったなという印象を持つのかもしれません。良い方向か悪い方向かはわかりませんが。