2ちゃん情報流出 「匿名の暴言」が突きつけた闇

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1309/09/news038.html
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1309/09/news038_2.html

流出被害者が善後策を話し合う掲示板では「性癖が個人情報とともに流出した…どうしよう」「社会的に失うものはそれなりにあるよ。この年までいろいろ努力して築いてきたものが。それを自分の不注意と悪意のある人間によってダメにした」「今更後悔してもしきれない、もう二度とネットに変なことは書かない」といった、後悔と怨嗟(えんさ)の声に満ちている。

今回の流出が突きつけたのは、ネット上に完全な匿名は存在しないという事実の確認はもちろん、人間が匿名を許された場合にどう振る舞うか、それが露見した場合にどんな社会的制裁が降りかかるかという、あまり愉快でない現実だった。

匿名で言える表現、というものもあるので、私は、以前から、匿名だから即いけない、とは考えていないのですが、匿名は悪用されやすく、匿名の長所を生かしつついかにして悪用を排除するかは、悩ましく到達点のない課題です。
匿名、といっても、では完全な匿名性はあるかというと、民事、刑事、特に刑事手続で法令に基づく強制力も利用されることでかなり解明、特定されることはよくあります。そして、従来はほとんど指摘、意識されてきませんでしたが、今回の2ちゃんねるの件のような、事故、ハッキングによる匿名性の崩壊、ということも、現実にあるのだ、ということが明らかになったということでしょう。考えてみると、情報の管理はどこかで人が介在しているわけですから、こうしたことも、可能性は高くはないとはいえ、あり得ることで、あり得るというだけでなく実際に起きているわけですから、今後も起きる可能性は十分あるでしょう。
人間性、信頼、評価というものは、一度、失墜してしまうと、なかなか取り戻せないもので、匿名の陰に隠れて人格を疑わせるような書き込みを繰り返していた、それが露見した場合のダメージには極めて深刻なものがあると思います。使い方を誤ることで、社会的にも致命的なダメージを被りかねない、そういうインターネットの恐ろしさを、この事件は教訓として残したと言えるかもしれません。

7月1日からネットカフェで本人確認始まる、東京都の新条例施行

http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20100628_377357.html

本人確認にあたって利用者は、運転免許証やパスポートなど、氏名、住所、生年月日の記載のある書類の提示が求められる。同条例の義務に違反した業者には公安委員会が必要な指示を行い、指示に従わない場合には営業停止命令を出すことも可能。罰則も設け、営業停止命令に違反した場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金を科す。

http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/seian/in_cafe/image/in_cafe_gaiyo.pdf

を見ると、店舗にログの保存までは義務づけず、本人確認と確認記録の保存(3年間)、利用者の使用機器との紐付けを義務づけて、捜査の際に利用者が特定できるようにしようとしていることがわかります。
この調子では、無線LAN使用の際にはセキュリティをかけ漏れ電波が悪用されないように義務づける、といった条例もできそうですね。
ネットカフェで窮屈な思いをするのは善良な人ばかりで、悪用しようとする者はちゃっかり別の手段、方法へと逃げて行く、ということになるでしょう。

ブログ利用「実名・勤務先明記」を奨励 日本IBM

http://www.j-cast.com/kaisha/2010/04/20064843.html

日本IBMは2010年4月13日、「ソーシャル・コンピューティング・ガイドライン」をウェブサイトで公開した。米IBMが2008年に制定したガイドラインの日本語訳である。この中にはブログの運営について、
IBMでの業務に関連してブログ活動をする際には、実名を使い、身元を明らかにし、あなたがIBMに勤務していることを明示するように奨励します」
「一人称で語りましょう。自分自身の意見で、その個性を前面に打ち出し、思っていることを語りましょう」
と書かれている。ツイッターSNSの利用も、これに準じて適用されるのだろう。ただし、「このサイトの掲載内容は私自身の見解であり、必ずしもIBMの立場、戦略、意見を代表するものではありません」という免責文を入れることが条件となる。
身元を明らかにしない限りは利用を黙認する、多くの日本企業のスタンスとは逆である。なお、就業時間中にツイッターやブログの更新をする社員もいるようだが、ガイドラインは、
「日々の仕事を忘れないでください。オンラインでの作業があなたの仕事やお客様へのコミットメントを妨害することのないよう、注意してください」
という一文で締めくくられており、仕事に支障のない限り容認されると解釈してよさそうだ。

実名や勤務先を明記して情報発信すれば、うかつなことは書けなくなり勤務先として好都合という判断が働いているのではないかと推測されますね。その代わり、勤務時間中の、業務に支障のない更新、書き込みは敢えて禁止せず、一種の「アメとムチ」で、緩やかなコントロールを及ぼして行こうという意図がうかがえるような気がします。
ただ、匿名だからこそ自分は書きたい、書く意味があり書けることがあると考えている人も少なくないはずなので、こういったガイドラインの実効性については、やはり疑問と言わざるを得ないでしょう。
とは言え、なかなかおもしろい試みではあると思います。

ネットで医師暴走、医療被害者に暴言・中傷

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100306-00000532-yom-soci

日医の懇談会は「高度情報化社会における生命倫理」の報告書で、ネット上の言動について「特に医療被害者、家族、医療機関内部告発者、政策に携わる公務員、報道記者などへの個人攻撃は、医師の社会的信頼を損なう」と強調した。
匿名の掲示板でも、違法性があれば投稿者の情報は開示され、刑事・民事の責任を問われる、と安易な書き込みに注意を喚起。「専門職である医師は実名での情報発信が望ましい」とし、医師専用の掲示板は原則実名の運営に改めるべきだとした。ウィキペディアの記事の一方的書き換えも「荒らし」の一種だと断じ、公人でない個人の記事を作るのも慎むべきだとした。

この問題には、医師の倫理ということと、一般的な匿名性の問題の、両方が含まれているのではないかと思われ、それだけに、処方箋が出しにくい、難しい問題という気がします。
医師が、実名では言いにくい、しかし、誹謗・中傷やプライバシー侵害ではない、社会にとって有益な情報を匿名で発信したいと思うことはるでしょう。それを禁止する必要があるかと言えば、あるとは思えません。しかし、匿名性は、無責任な誹謗中傷等に発展する危険性を常に持つものであり、その対策は必要ですが、その歯止めを倫理だけに求めるのは無理でしょう。とは言え、現行の法制度で倫理以外の歯止めがどこまであるかというと、かなりお寒い状況であるのも事実です。
急激に到来したインターネット社会の負の側面、ということだけで片付けられない問題ですが、そういう側面があるのは間違いないでしょう。

匿名化ツール『Tor』:重要情報を公開した研究者に、当局の家宅捜査

http://wiredvision.jp/news/200711/2007112622.html

以前、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20070914#1189725321

とコメントした件の続報ですが、

11月14日に話を聞いた際にEgerstad氏が語ったところでは、8月に同氏が公開した2件の電子メールアカウントは、同氏が傍受する以前に身元不明の侵入者によってハッキングされていたことがその後確認されたという。
だがEgerstad氏は、それがどのアカウントだったのか、アカウントがどの国のものだったのかについては口を閉ざした。

といった点に、当局の関心が寄せられているような気がします。あくまで単なる推測ですが。
「匿名のつもり」が、真の匿名になっていない、ということは、どこでも起き得るものだ、ということでもあるでしょう。

匿名化ツール『Tor』の落とし穴――大使館等の通信傍受に成功


http://wiredvision.jp/news/200709/2007091323.html
http://wiredvision.jp/blog/fromwiredblogs/200709/20070913093919.php

しかし、Torには既知の脆弱性がある。ネットワーク内でトラフィックが最後に通過する出口ノードでは、最終的な目的地に送信される前にデータが複合化されなければならない。最終ノードを管理する人物は、このサーバーを通過するデータを見ることができるのだ。

「政府のために働き、機密情報を扱うような地位にある人なら、データを暗号化せずに送信することは無責任だ。彼らは職員の教育を実施し、暗号化技術を採用した仮想専用網(VPN)を利用することで、データのプライバシーを確保すべきだ」とNerad氏は語った。

いろいろなインターネット上のニュース等で話題になっていますが、機密性の高い情報を、無頓着にメール等でやり取りすることの危険性を示しているように思います。
インターネット上の匿名性というものが、真の意味での「匿名」にはなかなかなり得ない、ということも示しているような気もします。

悪質な書き込みの抑止力となるか、インターネット実名制を導入

http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/it/2245878/1729246

「インターネット実名制」とも呼ばれるこの制度のもと、大手インターネット企業は、ユーザIDの記録を強いられることになる。
 さらにサイト管理者は、悪質な誹謗中傷が投稿され、名誉毀損やプライバシー侵害行為などの被害を訴えたい者がいる場合は、攻撃を行った人物の名前や住所などの個人情報を公開することも強制される。

昨日、ある大手新聞社が発行する雑誌の取材を受け、インターネット上の誹謗・中傷問題について、聞かれるままに話したのですが、その際にも、韓国でのインターネット実名制が話題になりました。雑誌は、7月中旬発売予定とのことでした。
私自身は、こういった措置の実効性に疑問を感じていますが、当否はともかく、日本において、今後、あり得る方向性の1つかもしれない、とは感じています。
韓国で、この制度がどの程度効果をあげられるか(あるいは、あげられないか)は、大いに注目されると思います。