大津女児暴行死 兄を逆送せず少年院送致 母の育児放棄を考慮

大津女児暴行死 兄を逆送せず少年院送致 母の育児放棄を考慮(毎日新聞) - Yahoo!ニュース

少年は母親と妹の3人暮らし。決定によると、母親は7月ごろから家に帰らない日が増え、妹が亡くなるまでの7日間も不在だった。児童相談所なども、少年や妹がネグレクト(育児放棄)状態に置かれていると認識しながら、一時保護などの措置を取らなかった。  

少年法は16歳以上の少年が故意に被害者を死亡させた事件について原則、検察官送致(逆送)するよう定めている。横井裁判官は「妹と2人だけで過ごし、頼れる人もいないまま過大なストレスを感じていた」と言及し、「少年が罪を償い、真に更生するためには刑事処分ではなく、保護処分を受けさせることが適切」と指摘した。

少年院は少年の改善・更生を図る機能が高い一方、刑務所は、服役により罪を償う場でありつつ改善・更生も目指すもので、特に可塑性のある少年にとって、前者に身を置くメリットは大なるものがあります。

世の風潮は、少年にも厳罰という流れになりがちですが、刑務所で服役しても、いずれは社会に戻ってくるものであり、危険な状態が是正されなければ、再び社会に対して害を為すことになりかねません。そうならないように、再犯にはしならないようにすることも、施設処遇の重要な機能です。

少年事件は、その可塑性に十分に思いを致した改善・更生の重視と、成長度に応じた処罰の必要性の適度なバランスの中で見ていく必要があると思います。

その意味で、上記のケースは、1つの参考になるものではあるでしょう。

ネット中傷を抑止、侮辱罪厳罰化で懲役刑導入の刑法改正を諮問…テラスハウス事件が契機

ネット中傷を抑止、侮辱罪厳罰化で懲役刑導入の刑法改正を諮問…テラスハウス事件が契機(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース

侮辱罪は、公然と人を侮辱した行為に適用される。明治時代からある規定で、元々は悪口を人前で言ったり、家にはり紙をしたりする行為が想定されていたが、ネットの投稿も対象になる。

侮辱は、刑事、民事を通じて、事実摘示による社会的評価低下に至らない、名誉感情を侵害するものという位置付けですが、批判、非難を厳しく行う中で侮辱的な言辞に至ることもあり、違法性が微妙な発言でありつつ、表現の自由の保護の対象として見るべきものもあります(典型的なのは政治家に対する発言でしょう)。

それが、民事はともかく刑事で懲役刑の対象になれば、表現の萎縮を招くことにもなりかねませんし、政治家への批判、非難が侮辱罪として弾圧の対象になる、といった事態も起き得ます。警察権力というのものが政治の侍女化しがちな現状では、杞憂とは言えないでしょう。

今後の法制審議会のおける検討では、単に厳罰化というだけでなく、処罰濫用を防止する方策も検討される必要があると思います。

「オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る」

 

 参加している読書会の課題図書になっていて、通読しました。著者は今や話題の人ですが、著書を読んだことはなく興味、関心があったので、良い機会になりました。

AIが人類を支配するのではないかという危惧が、最近、よく語られますが、著者は、あくまで人間を保管する役割で活用すべきであり、それは可能であると述べます。また、ITを、代表制の中で形骸化しがちな民主主義を実質化するために大いに活用すべきであるとして、台湾における実践例を紹介していきます。利権の塊のような大臣を担いで、やっと「デジタル庁」を立ち上げた日本では日暮れて道通しの感のある話が続きますが、我々は、諦めずに進まなければならないのでしょう。

今後の、ITやAIを駆使したあるべき社会を考える上で、示唆に富む、読みやすい一冊だと感じました。

 

「沖縄決戦ー高級参謀の手記」

yjochi.hatenadiary.com

ずっと読み進めていたのですが、細かい戦況の話が延々と続き、地理がわからないのでGoogle マップで引いてみたりしながら読んでいるうちに、結構、時間がかかり、最近、やっと読み終えました。骨は折れましたが、沖縄戦への理解がより深まり、通読して良かったと感じています。

第32軍高級参謀であった著者は、米軍の圧倒的な戦力をよく理解し、「戦略持久」により本土決戦までの時間を稼ぐ方針を立てて、戦略戦術を組み立てます。しかし、大本営や上位の方面軍からは積極的攻勢に出ることを求められ、

yjochi.hatenadiary.com

連合艦隊作戦参謀であった三上氏が語るように海軍とも方針に齟齬があり、一時は動揺した第32軍司令官、参謀長から攻勢に出ることを命じられ、やむなく方針を転換しますが、大損害を被り再び持久へと転換します。

そういった経緯は、

 

でも取り上げられているところであり、じっくりと読むことで、著者の意図していたところはよくわかりました。

本書の所々で、沖縄県民や行政関係者(沖縄県知事、警察部長ら)の話が出てきますが、第32軍が、民間人について全く考慮していなかったわけではないものの(沖縄戦前は北部への民間人避難措置が講じられていたことが紹介されています)、沖縄戦開始後は、「早く逃げなさい」程度の関心しかなく、沖縄県全体が戦場になることで膨大な民間人の犠牲が出ることも、やむを得ない、程度しか考えていなかったことも本書を読むとよくわかります。現在の日本においても、核攻撃、ミサイル攻撃等で、日本本土が甚大な戦災を被る現実的な危険性がありますが、全く他人事ではないということを強く感じました。

沖縄戦を振り返り考える上で、通読できて良かったと感じています。

「Galaxy Z Fold3 5G」を試す - ペン対応、Felica搭載、防水で大進化

「Galaxy Z Fold3 5G」を試す - ペン対応、Felica搭載、防水で大進化(マイナビニュース) - Yahoo!ニュース

日本版では、これに加えてFeliCaを搭載したことで、おサイフケータイGoogle Payによるキャッシュレス決済もサポートしました。これによって、現行のスマートフォンでできることはほとんどカバーし、これ1台で様々なシーンに対応できる高い完成度を実現しています。

問題は、グローバル版とは異なりシングルSIMとなっている点。この仕様を主導しているのはキャリア側ですが、キャリア自身がeSIMへの取り組みを開始している中、グローバル版のデュアルSIM+eSIMという仕様を維持してほしかったところです。今後、そうした仕様のSIMフリー版をサムスンが発売してくれると嬉しいのですが……。

私はドコモ版を予約し、使ってみるのが楽しみですが、シングルsimというのは、なんとかならなかったのかという気はしています。

グローバル版のように、ダブルsimにesimというのは、Felica搭載である以上無理なのかもしれませんが、せめてesimを付けてもらえれば、かなり違います。記事にもあるように、日本でも各キャリアがesimへの取り組みを進めている中、ちょっと残念な仕様ではあります。

私がキャリア版にしようと決めたのは、Felica搭載が大きかったですね。頻繁には使わないにしても、使いたい時におサイフケータイ機能が使えるのは便利です。ここは、自分で後付けというわけにはいかないところです。

迷っているのはsペンを使うかどうかで、画面を傷めそうで気になっています。画面を傷めるリスクと、sペンを使うメリットを天秤にかけて決めることになるでしょう。

 

『45歳定年制』? 進む、人材の新陳代謝

『45歳定年制』? 進む、人材の新陳代謝(日本テレビ系(NNN)) - Yahoo!ニュース

「定年を45歳にすれば、30代、20代でみんな勉強するんですよ。自分の人生を自分で考えるようになる」。―これまでも「最低賃金大幅引き上げ」などで世の中の議論をかき混ぜる役割を担ってきたサントリーホールディングス新浪剛史社長(政府の経済財政諮問会議議員)はこう提案した。

会社、役所といった組織は、人を結集して大きな成果を挙げる上ではよくできた仕組みで、人がそういう中で自己実現を図るのは合理的です。それと共に、人生半ばで所属する組織から強制的に放り出されてそこから伸びていける人も、全体の中ではごく一部でしょう。それぞれの意思での転職、転身は大いに行える世の中であっても、途中で強制的に放り出すことは、人々を不安にさせ安定を損なう大きなデメリットがあるように思います。組織側も、所属する人を、それぞれの年齢に応じて生かせる組織作りをすべきでしょう。

新浪発言は、人としての在り方、心構えの問題と、社会の仕組みを一体化して論じているところに問題を感じます。

 

「大和」艦橋から見たレイテ海戦 栗田艦隊は決して逃げていない!

 

著者は、2018年に惜しくも逝去されましたが、2017年に、靖国神社であるイベントがあり、その際、間近でお姿を拝見したことがあります。かくしゃくとしていて、いかにも旧帝国海軍軍人という感じでした。
レイテ沖海戦で、栗田艦隊がレイテ湾に突入しなかったことは、「謎の反転」として、戦後長く批判されてきました。しかし、著者は通信士として大和艦橋にいた経験も踏まえ、やむを得ない措置だったとします。
読んで感じたのは、今とは比べ物にならない通信環境の悪さと、その中で、暗中模索的に敵状を探りながら作戦行動を刻一刻と決めざるを得ない指揮の難しさでした。栗田艦隊批判は、戦後、当時の全容が詳らかになった上での後付けの議論ですが、そういう情報を持たずに何ができたか、すべきであったかという視点がないと、単なる結果論、評論でしかないでしょう。
その意味で、本書は、当時の栗田艦隊、栗田提督の視点に立った上での戦史として意義あるものだと思います。
別の本では、上記の反転について、栗田艦隊内の関係者で批判する者はなく、かえって、無駄死にせずに済んだという肯定的な評価だったとあったのが思い出されます。突入すればレイテ湾は無防備でガラ空きだったという反転批判には、本書でも指摘されている、航空支援が期待できない栗田艦隊に対し、圧倒的な米航空戦力による攻撃が十分にあり得たという視点が欠落していると言えるように思います。
ただ、小沢艦隊が囮となりハルゼーの機動部隊を北に釣り上げ、栗田艦隊にはレイテ湾突入のチャンスが生まれてはいました。帝国海軍の最期を迎え、無謀な沖縄特攻で自滅するくらいなら、大和をレイテ湾に突入させて米輸送船団に大打撃を与えられなかったのかということは、大和が多くの人々の心の中で生き続けるとともに、今後も言われ続けることでしょう。