福沢諭吉は北里柴三郎の大恩人 「恩返しでは」孫が語る

福沢諭吉は北里柴三郎の大恩人 「恩返しでは」孫が語る(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース

柴三郎はドイツ留学から帰国後、福沢の支援で研究を再開し、結核の病院をつくった。

以前に、東京都港区にある北里研究所病院へ知人のお見舞いに行った際、そこにある北里柴三郎の資料室を見学したことがありました。また、その頃、この人物に興味を感じ、資料も入手して読んだこともありました。 

その際の記憶で書くので、やや不正確かもしれませんが、人物としては豪放磊落で、今なら「パワハラ」になるような言動も多かったようで、確か「雷おやじ」的なニックネームがついていました。しかし、国立の研究所を飛び出して自前の研究所を設立した際には、スタッフは皆ついてきたとのことで、人望のある、人がついてくる人物だったのでしょう。

数々の特許を持ち、裕福な中、自宅近くの川で、橋がなくて子供達が遠回りしているので、子供好きな北里柴三郎が、自費で橋をかけ、そこに自分の名前をつけたりせず、「勉強橋」と名付けたエピソードには人柄が偲ばれると思いました。

ドイツに留学した際に師事した細菌学者のコッホが来日した際、既に年老いて影響力も低下していたコッホを大いに歓待して、日本のあちらこちらに案内したとのことで、恩を忘れない、義に厚い人物でもあったようです。

私の好きなタイプの人物であり、お札の「顔」になるのは嬉しいことです。

「無実」「陰謀」主張も「中身ない」と検察 ゴーン容疑者の動画

「無実」「陰謀」主張も「中身ない」と検察 ゴーン容疑者の動画(産経新聞) - Yahoo!ニュース

カメラの前に座ったゴーン容疑者は、黒いジャケットにノーネクタイのワイシャツ姿。机の上に手を組んだまま約7分35秒、首を振るなど納得のいかない様子で語った。
冒頭、ゴーン容疑者は「最初のメッセージは私は無実だということです」と宣言。だが「無実」という言葉を繰り返すのみで、その根拠の説明はなかった。

私も見ましたが、特に見るべ具体的な内容はなかったように感じました。

検察に、法廷外で反論したい、世間にアピールしたいという被告人はいるものですが、しゃべりすぎると、後々の法廷での主張と矛盾を生じる恐れがあります。では、具体的なことは言わずに、無実、陰謀を声高に言っても、それが説得力を持ち世間にアピールできるかというと、なかなか難しいでしょう。

裁判というのは、出てくる証拠により判断されるものであり、その意味では証拠が勝負であって、スタンドプレーやアピールでどうにかなるものでもないというのが厳然たる事実です。

弁護団としても、ゴーン氏本人の希望を尊重して、実名はあげないようにして、今後のマイナスにならないように注意しながらの動画放映にしたと推測されますが、マイナスもないと同時に、特にプラスもないものだったという印象を受けました。

やはり、今後の公判前整理手続、公判を通じて、ゴーン氏は身の証を立てる必要があるでしょう。 

妻が代表の会社、租税回避地に設立

妻が代表の会社、租税回避地に設立(TBS系(JNN)) - Yahoo!ニュース

その後の関係者への取材で、キャロル夫人が代表を務める会社が、タックスヘイブン租税回避地であるカリブ海のイギリス領バージン諸島に設立されていたことが新たに分かりました。この会社の前の代表は、ゴーン容疑者が務めていたということです。
日産側の資金は複数のペーパーカンパニーを通して還流されていることから、特捜部はゴーン容疑者がタックスヘイブンペーパーカンパニーを通すことで、資金の流れを分かりづらくする目的があったとみて調べています。

 東京地検特捜部が、夫人の事情聴取を要請したところ断られ、裁判所に証人尋問を請求したと報道されていましたが、刑事訴訟法では、

第二百二十六条 犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者が、第二百二十三条第一項の規定による取調に対して、出頭又は供述を拒んだ場合には、第一回の公判期日前に限り、検察官は、裁判官にその者の証人尋問を請求することができる。
 
第二百二十八条 前二条の請求を受けた裁判官は、証人の尋問に関し、裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。
2 裁判官は、捜査に支障を生ずる虞がないと認めるときは、被告人、被疑者又は弁護人を前項の尋問に立ち会わせることができる。

という規定があり、第1回公判期日前であれば、捜査機関は裁判所に請求して証人尋問を行うことが

できます。その場合、証人尋問を実施する裁判官は、公判段階での裁判所が行えることができますか

ら( 「前二条の請求を受け裁判官は、証人の尋問に関し、裁判所又は裁判長と同一の権限を有す

る)というのはそういう意味です)、証人が呼び出しても出張しない場合は勾引(強制的に身柄を拘

束して出頭させる)ことも可能です。

証人が海外に出国してしまった場合でも、捜査共助条約を締結している国に対してであれば、

 

平成27年版 犯罪白書 第2編/第7章/第3節/1

 

にあるように、相手国の司法手続を利用しての尋問も可能です。ただ、これにはそれなりの時間がか

かりますから、ゴーン氏の現在の勾留中に実施することは無理でしょう。証人が条約締結国ではない

国に滞在していれば実施は難しくなります。

本件でゴーン氏が起訴された場合、上記の記事にあるような、妻が関連会社の代表を務め、しかも、

証人尋問に応じず出国し証拠化が未了ということは、「罪証隠滅の恐れ」、すなわち通謀等につなが

るものとして、保釈を認めない方向に働く可能性があります。その意味では、日本国内での証人尋問

に応じておくメリットもあったということになり、この対応が今後、ゴーン氏にとって吉と出るか凶

と出るか、かなり微妙なものを感じます。

いろいろなことが起きる事件です。

 

 

 

 

 

 

 

沈没から74年、戦艦「大和」追悼式=「心から消えることない」と元乗員-広島

沈没から74年、戦艦「大和」追悼式=「心から消えることない」と元乗員-広島(時事通信) - Yahoo!ニュース

 

主催した戦艦大和会会長で元乗組員の広一志さん(95)=同市=は「乗組員も世界一優秀でなければならかなった。年中無休、血のにじむような猛訓練を続けた。散華された方の慰霊と、若い世代への伝承を通じ、平和日本の繁栄と世界平和への貢献が英霊の遺託に応える道だ」とあいさつした。

大和は1945年4月7日、水上特攻で沖縄へ向かう途中、鹿児島県沖で米艦載機の攻撃を受け、沈没した。大和ミュージアムによると、乗員3332人のうち、3056人が艦と運命を共にした。 

 大和については、本ブログでも過去に、

yjochi.hatenadiary.com

yjochi.hatenadiary.com

yjochi.hatenadiary.com

とコメントしたことがあります。

最後の沖縄特攻については、今や「無謀な作戦」という評価が定着していますが、一番上のエントリーでも取り上げた、連合艦隊作戦参謀だった三上氏の

もちろん成功の算が少なかったのは事実です。それは誰が考えても同じだが、敗け戦の中では、あくまで主導権はフリーハンドで敵に握られているわけです。しかし天象海象の状況で、あるいは敵の配備ミスなどで、全然見込みがないとは言えない。それが戦というものです。私は聯合艦隊司令部がやろうとしたことは、それなりの価値があったと思う。三十二軍の総反撃に大和が加わり、航空隊も全力をあげてこれにあたる。あらゆる力を結集して勝利の一点に集中する。そういう行動ならば賛成だ、すなわち“大和出撃やむなし”と、私は思ったわけです。それだけに三十二軍が出なかったところが理解に苦しむところなんです。

という述懐、「あらゆる力を結集して勝利の一点に集中する。」という、その目指したものに、単なる無謀さでは片付けられないものを感じています。

ただ、無理な作戦であったことは事実であり、そのような作戦の犠牲になって戦後の日本の礎になった方々には、深い哀悼の意を表したいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴーン氏の「裁判資料押収」に批判の声 「秘密交通権の侵害」の可能性

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190405-00009472-bengocom-soci

記事にもあるが、拘置所内の被告人の下にある、弁護人とのやり取りの手紙を令状により押収した行為を違法とした判例がある。

ただ、証拠は千差万別で、公判向けの資料が、同時に捜査中の事件にも関連するということもあり得るから、今回の押収での違法性には微妙なものがあるだろう。捜索差押の場では、いちいち細かく中身を見ることも困難で、そういう限界を考慮する必要があるという裁判例もある。

ただ、そういう微妙さがある以上、捜索差押許可状の執行に当たり、慎重に進める必要があり、その辺の特捜部の手法に疑問を感じる。裁判所の身柄に対する見方も厳しくなり、ゴーン氏が予想以上に早く保釈になったのは、特捜部としては誤算だっただろう。捜査環境が徐々に悪化する中、新たな捜査手法や、裁判所を積極的に関与させるような制度、例えば大陪審といったことも検討が必要だろう。

性犯罪無罪判決への感想

性犯罪の無罪判決が相次いで報道されている、その感想を若干。

知った者同士の関係性の中での性犯罪は、事実認定が微妙になることが少なくない。そこに酒でも入ると、一層困難になりやすい。

暴行、脅迫とか抗拒不能にさせる、それに乗じることが要件になっていて、一見、犯罪の成否のハードルは高くて明確のように見えても、人と人との性関係に至るプロセスや、そういう関係についての同意不同意は千差万別で、供述による認定を余儀なくされるだけに、否認事件では認定に迷うものが少なくない。疑わしきは被告人の利益にという刑事裁判の鉄則が当然適用されるものの、被害者保護の必要性も捨てられず、捜査する上での悩みは深くなりがち。

最近の相次ぐ無罪報道を見ていると、検察の力量低下も感じるものがある。地方の中小規模の地検では、こういう難しい事件の起訴不起訴の決定は、主任検事と決裁官である次席検事のやりとりで決せられる。検事正は事件の中身まで細かく見ないし次席検事に任せていることが多い。このラインでの、主任検事、次席検事の力量が、以前より相当低下しているのではないか。主任検事は捜査の突っ込み不足、次席検事は決裁官としての問題点への突っ込み不足、という。

検察の事件処理で、不起訴というのは、楽であり、逃げ場にもなる。しかし、特に被害者がいる事件で、安易な不起訴は、被害者救済にならないし正義にも反することになる。

中小地検では、大地検のように、刑事部、公判部と分かれておらず、起訴した検事が公判にも立ち会う。そうなると、公判部の検事が別の視点で事件を見ることもなく、起訴検事が問題性を引きずったまま、不十分な公判活動が行われることになりやすい。力量不足の起訴検事が的確、活発な公判活動を展開できるはずがないし、公判になれば、次席検事もますますコントロールしづらくなり、無罪へまっしぐらになりやすいだろう。

検察による、不起訴方向へのフィルタリング機能が高いからこそ、日本での有罪率は高く、そこへの批判はあるが(従来の裁判所が検察寄りといった)、公判で無罪になり得るものが、検察の終局処分の段階で早めにドロップされている面は確実にある。その機能が低下すれば、誤起訴は増え、性犯罪でもその他の犯罪でも、無罪は増えるだろう。

性犯罪の事実認定の在り方が、男性視点のバイアスに毒されている傾向があるのではという、そういう問題性も検証されなければならないとは思うが、捜査、公判に携わる「人」の問題は、かつてそこに身を置いたことがあるだけに、気になるところではある。

中東「資金工作」解明へ検察慎重派説得 カルロス・ゴーン容疑者再逮捕

中東「資金工作」解明へ検察慎重派説得 カルロス・ゴーン容疑者再逮捕(産経新聞) - Yahoo!ニュース

ところが、検察上層部は「これ以上の立件は不要」と慎重姿勢を崩さなかった。「無理して一部でも無罪が出たら組織が持たない」という理由だが、その背景には、裁判所が特捜部の捜査に厳しい姿勢を取り続けていることもあった。

オマーンレバノンなどに求めた捜査共助も、期待した回答は得られず、捜査は難航したが、特捜部は日産の協力を得て中東関係者から事情聴取を重ね、資金支出の決裁文書や資金の送金記録などの関係証拠を積み上げ、容疑を固めた。

特捜部は「サウジアラビア・ルートだけでは、部分的に弁解が認められる可能性もある。中東での資金工作の全体像を解明しなければ、逆に無罪が出かねない」と上層部に主張し、逮捕にこぎつけた。

 保釈後とか、事件によっては刑務所に収監後に、余罪で再逮捕ということは、捜査の都合により起きてくることが時々あります。頻繁にあることではありませんが、稀、というほどでもないというのが、私の経験上の感想です。

特捜部が手がける、この種の事件(特別背任等)では、特捜部がいけるという判断をしても、上で、広い意味での起訴価値を含め、慎重論が出ることがあります。いけるという判断が、積極論にはあっても、やってみなくてはわからない要素、評価を伴う要素はどうしてもつきまといますから、「そこまで無理をするな」という慎重論は、検察の上では出やすいものです。特に、既に本件ではサウジアラビアへの同種出金が特別背任罪として起訴の対象になっていて、オマーンルートも起訴すれば、海外も絡む「同時二面作戦」状態になりますからそれだけ負担もリスクも増えることになり、それだけに慎重論が根強かったことは容易に想像できます。

では「なぜ」立件に踏み切ったのか。そこは、証拠への評価や、今後の公判立証上のメリット(記事にあるような)などが総合的に見られたということでしょう。4月中旬にゴーン氏が記者会見をしようとしていた、その口封じ目的ではないかという見方があるようですが、口封じのために俄かに立件できるような事件ではないものの、最終的に「やる」という判断に踏み切る上で、検察部内で微妙にそこも影響したことは、可能性としてあり得ないわけではないと思います。

同種の事件を繰り返している、というパターンでは、そのうちの一部だけを切り取ることで、事件の全貌が出しきれずに、検察立証上、マイナスになることがあります。例えば、連続放火事件で、1件だけの起訴では、裏付けが弱かったりアリバイの主張が出たりして立証が難渋するものでも、2件、3件と起訴することで、相互に、前足、後足関係になったり、うち1件への裏付けが別の件への裏付けにもなる、ということが起きてきます。そのように、複数の同種事件を立件、起訴対象とすることで、相互に支え合う形で立証が奏功することがあります。特捜部は、サウジアラビアルートとオマーンルートに関連性があり、双方を立件、起訴することが得策と考えたということも、十分にあり得ることでしょう。

特捜部は、起訴できると踏んで逮捕に踏み切るものであり、起訴は既定の方針でしょう。サウジアラビアルートとは別件であり、勾留が認められる可能性も高いと私は見ています。しかし、勾留延長や保釈への従前の裁判所の対応を見ていると、今後、勾留延長まで認められるかどうかは微妙さを感じます。特捜部としては、勾留延長請求せず、勾留10日で起訴を覚悟して臨んでいるかもしれません。

今後の捜査が注目されます。